賴清德氏、トランプ氏に「習近平を説得できればノーベル平和賞」発言 TSMCが「アメリカを再び偉大に」?

2025-10-08 16:26
賴清德氏がアメリカのテレビトークショー司会者、バック・セクストン氏(Buck Sexton)のインタビューを受ける。(写真/Buck Sexton氏のXから引用)
賴清德氏がアメリカのテレビトークショー司会者、バック・セクストン氏(Buck Sexton)のインタビューを受ける。(写真/Buck Sexton氏のXから引用)
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台湾の賴清德総統はこのほど、総統府でアメリカのトーク番組『The Clay Travis & Buck Sexton Show』の司会者バック・セクストン氏の単独インタビューを受け、その内容が10月7日に放送された。

このインタビューで賴清德氏は、初めて「国防予算をGDP比5%まで引き上げる」という大胆な方針を示し、「平和の四大支柱」構想を通じてアメリカ国内で高まる「台湾防衛への疑念」に応じる姿勢を見せた。また、トランプ前大統領に対し「習近平国家主席に台湾への武力行使を思いとどまらせることができれば、ノーベル平和賞はあなたのものだ」と直接呼びかけ、さらに台積電(TSMC)を「アメリカを再び偉大にする鍵」と位置づけた。このインタビューは明らかにアメリカの保守層やトランプ再登場を意識したもので、賴氏は「米国保守派に響く言葉」で台湾の防衛と経済の重要性を訴えたとみられる。

「スコップを持ったスーパーヒーロー」──市民社会から始まる支援

インタビュー冒頭、アメリカの記者は台湾の街の安全さと市民の高い公共心を称賛した。賴清德氏は最近の台風による花蓮のせき止め湖決壊災害に触れ、「先週末の連休中、初日に3万人が花蓮に駆けつけ救援活動を行い、翌日以降さらに4万人が加わった」と説明。「つまり10万人以上のボランティアが自発的にスコップを手に被災者を助けた。私たちは彼らを“スコップを持ったスーパーヒーロー”と呼んでいる」と語った。

「主権の現実」「責任の所在」「平和の代価」 三つのレッドラインを明示

核心となる中台関係について、賴清德氏は毅然とした口調で三つの「レッドライン」を提示した。

第一に、台湾(中華民国)と中国(中華人民共和国)は互いに隷属関係にないこと。

第二に、台湾は中国の一部ではなく、中国には台湾を侵攻する権利がないこと。

第三に、現状を破壊しているのは台湾ではなく、中国の軍事的挑発こそが地域の平和と安定を脅かしているという点である。

賴氏はさらに、「台湾人民が民主・自由・人権を追求する生き方は決して挑発ではない」と強調した。

「平和は無価、戦争に勝者なし」 四大平和支柱の行動計画

賴清德氏は「中国の脅威が増しても、台湾は平和と共栄を追求し続ける」と述べた上で、「平和は無価であり、戦争に勝者はいない。平和を守るためには力が必要だ」と訴えた。その上で、自身が推進する「平和の四大支柱」行動計画を詳細に説明した。 (関連記事: 論評:トランプ砲が試す世界秩序 「パクス・アメリカーナ」は終わるのか 関連記事をもっと読む

【第一の柱】国防強化と抑止の決意

賴氏は「NATO基準に基づき、来年には国防費をGDP比3.32%に、2030年までに5%まで引き上げる」と表明。「NATOの目標を5年早く達成する」と強調し、台湾が多くの米同盟国を上回る防衛努力を行うと示した。さらに、台湾は米国からの兵器購入だけでなく、無人機、無人潜水艇、ロボット技術などの自国開発を進め、国際社会との共同研究・製造も強化していると述べた。

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