自民党総裁選で高市早苗氏が勝利し、党のトップに就任した。これにより、日本憲政史上初の女性首相誕生が現実味を帯びてきた。
台湾の経済評論家で財信メディアの董事長を務める謝金河氏は29日、Facebook上で「高市早苗が新たな変化を開いた」と投稿。日本の株式・為替・債券市場がすでに高市氏の政策を織り込み始めていると指摘し、「日本で蔡英文(ツァイ・インウェン)効果が再現されるか、注目すべきだ」とコメントした。
株式市場が過熱、高市ショックで日経平均急騰
謝氏によると、29日の日本市場は高市早苗氏の自民党総裁就任を受け、「高市相場」とも呼べる新たな動きを見せた。日経平均株価は前日比2,175.26円高の47,944.76円で取引を終え、上昇率は4.75%に達した。取引中の最高値は48,150.04円を記録した。
今年4月、トランプ氏の関税発言による混乱で日経平均が30,792.74円まで下落した際と比べると、実に56.37%の上昇幅を示している。東証株価指数(TOPIX)も3,237.66まで上昇し、株式市場全体が高市新体制への期待を示した格好だ。
為替・債券市場も反応 円安と金利上昇が進行
株高に加え、為替市場でも円安が進行。1ドル=150.47円まで円が下落した。一方で国債利回りも上昇しており、10年物国債が1.694%、30年物国債は3.296%と、いずれも近年の最高水準を記録した。謝氏は「金融市場全体がすでに高市早苗の政策を先取りしている」と述べた。
「金融正常化に慎重」 円安の“基本面”
謝氏によれば、高市氏は日本銀行の金融正常化(利上げ)には慎重で、「拙速な利上げは経済に悪影響を及ぼす」との立場を取っている。このため、円安は一時的な現象ではなく「高市政策による基本的な構造変化」だと指摘する。
加えて、高市氏は経済安全保障と防衛力強化を重視しており、国家情報機関の創設や軍事力・サプライチェーンの強化を訴えている。さらに、国家主導の投資・税額控除によって企業の設備投資や賃上げを促す方針も打ち出している。
防衛・半導体関連株が急伸、産業界にも期待感
高市氏の経済安全保障政策への期待から、防衛・重工業・半導体関連銘柄が軒並み上昇した。防衛関連では三菱重工業とIHIがそれぞれ11%超上昇、川崎重工業も9.38%の上昇率を記録。サプライチェーン関連のNECが12.93%、半導体検査装置メーカーのアドバンテストは14.08%高の17,840円と史上最高値を更新した。
東京エレクトロンが7.3%、富士通が9%上昇するなど、半導体関連企業も総じて堅調だった。さらに、レーザーテック、ディスコ、SCREENホールディングスなどの製造装置メーカーも上昇基調を示している。
「日本人の期待が見える」 高市政権への熱視線
謝氏は「中国経済の停滞で株価が下落していた安川電機が19.26%、ファナックが6.13%上昇するなど、企業は高市政権に期待を寄せている」と分析した。
また、「高市早苗は長年、安倍晋三元首相の後継と見なされてきた。日本人が彼女に寄せる期待は大きい」とも述べ、午後には高市氏の経歴や思想を改めて調べ直したことを明かした。
「日本の政治は男社会、だが高市は強い意志を持つ」
謝氏は最後に、「日本の政界は長く男性中心だったが、高市は強い意志を持ち、自らの信念で道を切り開いている」と指摘。
その上で「日本で蔡英文効果が再現されるか、注目に値する。副総裁に麻生太郎氏、幹事長に安倍派の荻生田光一氏を据えた人事は、力強いスタートを示すものだ」と締めくくった。
編集:梅木奈実 (関連記事: 自民党「高市新体制」人事決定、7日に正式始動 麻生派が中核に、古屋圭司氏を選対委員長に起用 | 関連記事をもっと読む )
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