滝波宏文参議院議員「台湾有事は日本の存立危機」 日台連携強化を訴え、議員外交の対中停滞も浮き彫りに

滝波宏文参議院議員は台湾、頼清徳総統との会談で「台湾有事は日本の存立危機」と強調し、時事通信社はこの認識が日中関係と議員外交に影響を及ぼしていると報じた。(写真/総統府提供)
滝波宏文参議院議員は台湾、頼清徳総統との会談で「台湾有事は日本の存立危機」と強調し、時事通信社はこの認識が日中関係と議員外交に影響を及ぼしていると報じた。(写真/総統府提供)

台湾の頼清徳総統は23日、参議院議員滝波宏文氏を団長とする訪台団を総統府で接見した。同行者には、小林一大、鈴木大地、宮本和宏の各参議院議員が含まれた。接見には、日本台湾交流協会台北事務所代表の片山和之氏、台湾側から外交部長の林佳龍氏が陪席したほか、総統府秘書長の潘孟安氏、国家安全会議秘書長の呉釗燮氏も同席した。

滝波氏は会談で、台湾と日本は価値観と戦略的利益を共有する重要なパートナーであり、厳しさを増す地域の安全保障環境に共同で向き合う必要があると強調した。その上で、高市早苗首相が国会答弁で述べた「台湾有事は日本の存立危機に関わる事態となり得る」との認識について言及し、これは安倍晋三元首相の政策路線を引き継ぐもので、正しく、撤回されるべきではないとの考えを示した。

滝波氏は、台湾周辺の情勢がエネルギー、食料、経済安全保障などの面で日本と密接に関係していると指摘し、「台湾有事」は抽象的な議論ではなく、日本の危急存亡に直結する現実的な課題だと述べた。日台両国が連携を強化し、地域全体の平和と安定を維持することの重要性を改めて訴えた。

これに対し頼総統は、「TY会(台湾友好会)」として知られる同議員団が長年にわたり台湾を支持してきたことに謝意を表明した。特に滝波氏が、国会で台湾に関する問題について積極的に発言してきた点を高く評価し、日台関係の深化に向けた継続的な協力に期待を示した。

頼総統はまた、台湾と日本が自然災害や感染症といった危機の際に互いに支援し合ってきたことに触れ、今後も安全保障、経済、技術分野での協力を一層深める必要性を強調した。AI、半導体、情報通信分野における台湾の産業基盤と、日本の技術力や制度的優位性を組み合わせることで、より強靱で安全な産業体制を構築できるとの見解も示した。

一方、日本政界では、台湾を巡る発言や一連の動きが日中関係に影響を及ぼしている。『時事通信社』は、高市首相が11月7日の国会答弁で「台湾有事は日本の存立に関わる危機事態となり得る」と述べたことを受け、日中関係が一段と冷え込み、議員外交にも影響が広がっていると報じている。

同報道によると、超党派の「日中友好議員連盟」は、臨時国会閉幕後に中国を訪問する方向で調整していたものの、高市首相の答弁以降、調整は停滞している。議連幹部が中国駐日大使と非公式に協議を行ったが、進展は見られず、「情勢は厳しい」との認識が示されているという。

こうした中、日本の国会議員による訪台は相次いでおり、滝波氏の今回の訪問も、日台間の意思疎通と連携を強化する動きの一環と位置付けられている。中国が台湾への圧力を強め、日本に対しても強硬姿勢を示す状況下で、日本議員の対外関与が台湾と中国で対照的な様相を見せていることが浮き彫りになっている。

滝波氏は会談の締めくくりで、日台両国が価値と責任を共有するパートナーとして、今後も協力を深化させる必要性を改めて強調し、同行した議員らも同様の認識の下で連携を進めていく考えを示した。

編集:小田菜々香

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