沖縄県による米軍施設立入り申請に米側が不許可判断 PFAS調査巡り防衛省が回答内容を公表

防衛省は、沖縄県の申請には米軍施設がPFAS汚染源であることを示す十分な科学的根拠が示されていないとして、米側が嘉手納・普天間・キャンプ・ハンセンへの立入りを認めず、普天間飛行場の環境調査も実施しないと判断したと明らかにした。(写真/BBC中国語版提供)
防衛省は、沖縄県の申請には米軍施設がPFAS汚染源であることを示す十分な科学的根拠が示されていないとして、米側が嘉手納・普天間・キャンプ・ハンセンへの立入りを認めず、普天間飛行場の環境調査も実施しないと判断したと明らかにした。(写真/BBC中国語版提供)

防衛省は12月19日、沖縄県が米軍施設・区域への立入りを申請していた件について、米側からの回答内容を公表した。嘉手納飛行場、普天間飛行場、キャンプ・ハンセン周辺の河川などで有機フッ素化合物(PFAS)が検出されていることを受け、沖縄県は汚染源の特定を目的として、1973年の日米合同委員会合意に基づき、2016年6月以降4回にわたり、米軍施設・区域への立入りを申請するとともに、米側による普天間飛行場の環境調査を要請していた。

防衛省によると、米側はPFAS汚染に関する最大の懸念は、米軍施設・区域内外に居住する人々の飲料水への影響である点について、沖縄県と認識を共有しているとした。その上で、飲料水の安全性を確認することを目的とした立入りについては、米軍施設・区域への立入りを許可する可能性のある基本原則であると説明している。

一方で、立入りを許可するためには、1973年11月15日の「環境に関する協力について」と題する日米合同委員会合意に基づき、サンプル調査結果を日米双方が適切に評価できる環境基準や、米軍施設・区域が汚染源であることを示す科学的根拠が明確な調査データを提示する必要があるとした。米側は、沖縄県の申請にはこれらの基準やデータが示されていないとして、沖縄県による米軍施設・区域への立入りを許可しないとともに、米側による普天間飛行場の環境調査も行わないと判断した。

普天間飛行場については、採水や土壌採取の申請地点に地理的座標が示されておらず、正確な地点の特定ができないと指摘した。排水路に関しては、2016年2月に米海兵隊が実施した水質調査の結果、PFOSおよびPFOAの合算値は流入口で約7ナノグラム毎リットル、流出口で約6ナノグラム毎リットルであり、普天間飛行場が排水にPFOSやPFOAを加えていないことを示しているとした。また、消火訓練地区の水は飲料水として使用されていないため、採水の必要はないとし、湧水についても、名称や飲料水源としての使用状況、歴史的・文化的価値に関する情報が不足しているため判断できないとした。

嘉手納飛行場については、申請された採水・土壌採取地点の一部が実際の河川と関係がないことや、地理的座標が欠如している点を指摘した。さらに、立入申請後に沖縄県が飲料水源としての取水停止を決定していることから、嘉手納飛行場内で採水を行う必要はないとした。

キャンプ・ハンセンについても、採水・土壌採取地点に地理的座標が示されていないことに加え、立入申請後に金武町が飲料水源としての井戸使用を停止し、沖縄県から供給される浄水に切り替えていることから、施設内で採水を行う必要はないと判断した。

防衛省は、在日米軍としてPFOSおよびPFOAの問題を、施設・区域外の住民や施設内に居住する米軍人、軍属およびその家族の飲料水の安全に関する最も重要な課題と認識しており、日本環境管理基準(JEGS)の見直しを重ねながら、引き続き厳格に対応していく考えであると説明している。また、在日米軍は2024年10月までに、沖縄県内を含む全ての米軍施設・区域において、PFOSおよびPFOAを含む旧式の泡消火薬剤を廃棄し、これらを原料として含まない新式の泡消火薬剤に交換したとしている。

政府としては、沖縄県が今回の米側回答を踏まえて改めて立入申請を行う場合には、外務省や環境省など関係省庁と連携し、円滑な検討が行われるよう可能な限り協力していくとしている。

編集:小田菜々香

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