渋谷駅南側の新拠点「Shibuya Sakura Stage」、開業から1年半　「働・遊・住」融合の複合施設として定着

東急不動産などが進めてきた渋谷駅桜丘口地区の再開発事業により、2024年7月に全面開業した大規模複合施設「Shibuya Sakura Stage（渋谷サクラステージ）」が、開業から1年半を経て、渋谷駅南側の新たな広域拠点として本格稼働している。かつて国道246号や線路に阻まれ、アクセスに課題のあった桜丘エリアは、同施設の整備により回遊性が大幅に向上し、ビジネスや観光、居住機能が集積するエリアへと変貌を遂げた。

施設は、オフィスや商業機能を中心とした「SHIBUYA SIDE（渋谷サイド）」と、住宅やサービスアパートメントを含む「SAKURA SIDE（桜丘サイド）」の2つの街区で構成される。最大の特徴は、渋谷駅の「新南改札」を含む歩行者デッキによる駅直結アクセスだ。高低差のある地形を多層的な動線で解消し、駅周辺や代官山・恵比壽方面へのスムーズな移動を実現している。

宿泊機能としては、ハイアットホテルズコーポレーションが展開する「ハイアット ハウス 東京 渋谷」がSHIBUYA SIDEに入居している。同ブランドは東京初進出で、客室内にキッチンや洗濯乾燥機を完備するなど、中長期滞在のビジネス客や観光客の需要に対応。「暮らすように泊まる」滞在スタイルを提供している。また、16階にはモダンジャパニーズフレンチ「MOSS CROSS TOKYO」が出店しており、宿泊客以外の利用も可能となっている。

ビジネス・生活支援機能の充実も図られている。会員制シェアオフィス「ビジネスエアポート渋谷サクラステージ」や、クリエイティブ産業の支援施設「manoma（マノマ）」が拠点を構え、多様な働き方をサポートする。さらに、子育て支援施設としてインターナショナルスクール「CTIS Kindergarten, Shibuya」や、最新機器を備えたクリニックモール「SHIBUYAウェルセンター」も併設されており、オフィスワーカーだけでなく、周辺住民の生活インフラとしての役割も担っている。

屋外広場「にぎわいSTAGE」では、空間演出装置「キネティック・インスタレーション」を用いた環境演出「さくらCHORUS」が常設されている。気象情報や人流、電車の運行データなどをリアルタイムで取り込み、照明や音響、ミストによる演出を自動生成することで、365日変化する空間を作り出している。

渋谷再開発のラストピースとして誕生した同施設は、IT企業などのオフィス集積に加え、居住や医療、教育機能を取り込んだ「職・住・遊」が近接する都市型拠点のモデルケースとなっている。