台湾・台南市、日本の友好都市と観光施設入場料を相互優遇 2026年元日から、都市外交の新たな試み

2025-12-26 15:24
台湾・台南市は、日本の友好都市と連携し、双方の市民を対象に観光施設入場料を相互優遇する制度を2026年1月1日から開始する。台南市民は日本7都市の指定観光施設で割引を受けられ、日本側市民も台南市内の主要観光施設で市民同等の優待が適用される。(写真/台南市政府提供)
台湾・台南市は、日本の友好都市と連携し、双方の市民を対象に観光施設入場料を相互優遇する制度を2026年1月1日から開始する。台南市民は日本7都市の指定観光施設で割引を受けられ、日本側市民も台南市内の主要観光施設で市民同等の優待が適用される。(写真/台南市政府提供)

台湾南部の台南市が、都市外交における新たな一歩を踏み出した。台南市は、日本の友好都市と連携し、双方の市民を対象とした観光施設入場料の相互優遇制度を全国で初めて導入する。制度は2026年1月1日からスタートする。

台南市によると、市民カードまたは身分証明書を所持する台南市民は、山口県、山形市、日光市、水上町、宇土市、別府市、宇佐市の日本7都市が指定する観光施設を訪問する際、台南市民限定の入場料割引などの優遇を受けることができる。一方、これら7都市の市民が台南市を訪れる場合も、対象施設において台南市民と同等の優待が適用される。

この取り組みは、近年台南市が積極的に進めてきた国際都市との友好関係を、観光を通じて市民レベルの具体的な利益へと転換することを目的としている。観光交流の活性化に加え、都市間交流の成果を市民が実感できる仕組みとして注目される。

台南市の黄偉哲市長は、「これまで台湾と日本の観光交流は、交通パスやセットチケットなどを通じた促進策が中心だった。今回は都市同士が直接協議し、相手都市の市民に向けて専用の入場優遇を提供する初の試みだ」と説明する。

黄市長はさらに、「台南市民にとっては、日本旅行の際に『台南市民だけの小さな特典』を享受できるだけでなく、従来は行政主体だった都市外交を『市民外交』へと発展させることができる。都市交流が目に見えるだけでなく、実際に『使える』ものになる点に意義がある」と強調した。こうした観光を通じた交流が、相互理解や友好意識の深化につながることへの期待も示した。

この制度の実現にあたっては、日本側友好都市の積極的な賛同に加え、市議会議員のIngay Tali(インガイ・タリ)氏からの提案も後押しとなったという。黄市長は、「台双方にとって前例のない取り組みであるため、2026年元日の開始後は実施状況を見ながら柔軟に調整し、将来的には規模拡大も検討していく」と述べた。すでに複数の友好都市が、内部調整を終え次第、本制度への参加を検討しているという。

台南市政府の新聞・国際関係処によると、第一弾として日本側では7都市・計28か所の観光施設が、台南市民向けの入場料優遇を提供する。対象施設や具体的な優待内容は随時更新され、公式公告(https://reurl.cc/7bbe8d)で確認できる。

制度の継続的な運用を図るため、台南市は利用者に対し、現地で必ず台南市民カードまたは国民身分証明書の原本を提示するよう呼びかけている。スマートフォンに保存した画像やコピー、代替書類は認められず、条件を満たさない場合は優待が適用されない点には注意が必要だ。

一方、台南市側で日本の友好都市市民に対して入場優遇を行う施設には、赤崁楼、安平古堡、安平樹屋、億載金城、台南市立博物館、山上花園水道博物館、虎頭埤風景区が含まれる。いずれも日本人観光客に人気の高い名所で、市政府は「この制度をきっかけに、日本の友好都市市民に台南を訪れてもらい、観光全体の底上げにつなげたい」としている。

編集:梅木奈実

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