台湾文学を代表する作家・楊双子氏と、日本を代表する直木賞作家・角田光代氏の対談イベント「在台湾、在日本、持続して物語を書き続ける」が23日、東京都内の台湾文化センターで開催された。会場は満席となり、出版界や学術関係者を含む多くの来場者が詰めかけ、熱気に包まれた。
文化部駐日台湾文化センターは毎年、日本で台湾文学の翻訳書を刊行した作家を招き、日本の作家や翻訳者、評論家らと交流する場を設けている。今回は紀伊國屋書店との共催で行われ、事前のオンライン申込はわずか16分で定員60名に達するほどの人気ぶりを見せた。
楊氏はこれまで台湾の歴史を題材とした小説を発表し、前作『台湾漫遊録』の日本語版は「日本翻訳大賞」を受賞、さらに英訳版は米国の全米図書賞翻訳文学部門に輝いた。最新作『四維街一号に暮らす五人』(中央公論新社刊、三浦裕子訳)は、台湾の百年史を背景に、四人の大学院生と三十代の大家の日常を描き出し、日本でも大きな注目を集めている。
対談では、作品に込められた歴史的・文化的背景や百合小説、多民族社会の食文化といったテーマについて議論が交わされた。角田氏は「台湾は小さな島でありながら、多様な民族が暮らし、食や文化も異なることに驚いた。楊さんと直接語り合える機会を得て非常に嬉しい」と語った。
一方、楊氏は今後の創作について「台湾の食や歴史を引き続き主題に据えたい」と述べ、現在二つの新作に取り組んでいることを明らかにした。一つは漫画家との協働で描く台中のサラリーマンの「食べ歩き」物語、もう一つは1930年代の台中を舞台に、職業女性の姿を通して時代を映し出す歴史小説だという。
今回の座談は、台湾文学の国際的評価を高めると同時に、台日両国の文学交流の深化を示す場となった。
編集:柄澤南 (関連記事: トランプ関税勝利の代償 世界は結束、中国が最大の勝者? | 関連記事をもっと読む )
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