JR東日本、高輪ゲートウェイシティでのドローンショーを総括　「300機による都市空間での挑戦」

8月23日に高輪ゲートウェイシティで開催された「ドローンショー in Summer」を終え、東日本旅客鉄道株式会社（JR東日本）マーケティング本部まちづくり部門品川ユニットでブランド・プロモーションを担当する出川智之マネージャーが会後取材に応じ、今回の狙いや成果、今後の展望について語った。

JR東日本は8月23日、東京・高輪ゲートウェイシティで「ドローンショー in Summer」を開催した。都市空間でのドローン活用の可能性を広げることを目的に実施されたもので、会場では約300機のドローンが夜空を彩り、花火やJRロゴを描き出すなど、この場所ならではの演出が繰り広げられた。人口集中地区や羽田空港の航路直下といった厳しい条件下での飛行を実現したことも、大きな注目を集めた。

併設された展示コーナーでは、JR東日本グループが進めてきたドローンの物流・設備点検への活用や、実証実験の成果がパネルで紹介されたほか、高輪ゲートウェイシティの再開発ビジョンも公開された。「THE LINKPILLAR 1」「THE LINKPILLAR 2」や住宅棟、文化施設などの将来像が示され、来場者はドローンショーと併せて、次世代モビリティと街づくりが融合する未来都市の姿を体感できるイベントとなった。

出川氏はまず、今回のショーの狙いについて「JR東日本はドローンを活用したDXに取り組んでおり、高輪ゲートウェイシティは『モビリティ』『ヘルスケア』をテーマに掲げている。その中で物流や設備点検などさまざまな分野に空飛ぶロボットであるドローンを活用していきたいと考えている」と説明した。

その上で「それをお客様にわかりやすく伝えることが今回のショーの目的であり、実際にプレスリリースから数時間で定員が埋まり、2回合計で50組200名の枠がすぐに満席となった。関心の高さを実感するとともに、メッセージをしっかり届けられたと感じている」と成果を語った。 （関連記事： JR東日本、高輪ゲートウェイシティで初のドローンショー開催　都市空間で「ドローンが当たり前に飛ぶ未来」を目指す ｜ 関連記事をもっと読む ）

《風傳媒》記者がショーの特長について尋ねると、出川氏は「まずは非常に難しい場所での飛行だった」と強調した。高輪ゲートウェイシティは人口集中地区（DID）に位置し、羽田空港の航路直下で、線路や国道に挟まれた狭い空間にある。さらにWi-Fiや携帯電波の干渉、列車による磁気の影響も加わるという過酷な条件下で、約300機のドローンを同時に飛行させた。「そうした環境でデータ転送を行い安定して飛ばすこと自体が大きな挑戦だった」と述べた。

演出内容についても問うと、出川氏は「JR東日本が高輪ゲートウェイシティをどのような街にしたいかを表現するとともに、この地が150年前に日本で初めて鉄道が走った場所である歴史を踏まえ、未来へのイノベーションにつなげるメッセージを込めた」と振り返った。さらに「夏らしく花火を打ち上げたり、JRのロゴを描いたりすることで、この場所ならではの演目にできた」と語った。

また、次回開催の可能性について《風傳媒》が質問すると、出川氏は「本日お越しいただいたお客様の反応や、一般の歩道や車道での混雑状況を総括しながら検討していきたい」と述べた。現時点では具体的な予定は示さなかったが、「もし条件が整えば、次の開催を実現に向けて検討したい」と可能性を残した。

他の記者から一般公開までの準備過程や苦労した点について問われると、出川氏は「3月に同じ場所で非公開の試験ショーを行っており、そこから5か月の間に新しいシーンを追加して今回の演目に仕上げた」と説明。さらに「準備は1年以上前から始めており、行政や航空当局、鉄道関係者、警察・消防などと協議を重ねてきた。課題を一つひとつ克服してようやくお客様を迎えることができた」と述べた。

さらにドローン事業をJR東日本として直接展開する可能性については「単独で事業化する予定は今のところないが、グループ会社のJR東日本スタートアップを通じ、神戸での機体製造や設備点検での活用を進めている」と説明。「今後もさまざまな事業者と連携しながら可能性を広げていきたい」と語った。

取材の最後に出川氏は「高輪ゲートウェイの地は150年前に日本初の鉄道が走ったイノベーションの場所だった。これからも新しい技術を取り入れ、未来に向けた都市をつくっていきたい」と締めくくった。

編集：柄澤南 （関連記事： JR東日本、高輪ゲートウェイシティで初のドローンショー開催　都市空間で「ドローンが当たり前に飛ぶ未来」を目指す ｜ 関連記事をもっと読む ）

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