夢を追いかけて日本へ──イラストレーターDoryさんの東京ワーキングホリデー生活記

2025-05-31 11:34
台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさん。写真/黃信維

台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさんは、現在東京で1年間のワーキングホリデー生活を送っており、その旅もまもなく終わりを迎えようとしています。この旅は、気まぐれな冒険ではなく、何年もかけて温めてきた夢をようやく実現したものでした。彼女は大学時代に日本への交換留学を目指しましたが、新型コロナウイルスのパンデミックにより、その計画は中断されてしまいました。

台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさん。写真/黃信維
台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさん。写真/黃信維

しかし、その夢を諦めることなく、数年後、Doryさんはワーキングホリデービザを取得し、日本での生活を再び目指すことにします。Instagram(@yu_uyillustrator)では、旅行や日常、ファッションをテーマにしたイラストやデザインを投稿し、フォロワー数は7.7万人に達しています。真摯な視点で日々の観察を記録し、ブランドのデザインやイラストの依頼も手がけています。

この1年間、Doryさんは慣れ親しんだ台湾での仕事を一時的に離れ、「自由だけれど目的のある」生活と休暇を日本で送ってきました。学生時代に通っていた台湾芸術大学では2度目の申請でようやく東京の美術大学に交換留学が決まりましたが、渡航直前にパンデミックが起こり、夢は一度途絶えます。大学卒業後はデザイン業界で3年半働きながらも、その未完の夢を心の内に留め続けていたと言います。

台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさん。写真/黃信維
台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさん。写真/黃信維

「この1年で本当に日本を知りたいと思いました。」と語るDoryさん。その言葉には飾り気もなく、経験に裏打ちされた落ち着きが感じられます。彼女が来日した目的は「働く」ことではなく、「暮らす」こと。だからこそ、アルバイトではなく旅と生活に重きを置き、多くの時間を旅や観光、地元の人々との交流に費やしました。「最初から労働に全力投球していたら、それは『ホリデー』とは呼べないですからね」と笑顔で付け加えました。

この期間に出会った日本人についても、「日本人は排他的だとよく言われるけれど、実際にはとても親切で、思っていたよりもずっとオープンでした。私が本気で日本を知りたいと思っていることが伝わったのかもしれません」と話します。Instagramでは、繊細でやさしいタッチのイラストと、清潔感のあるビジュアルで、彼女自身の感性を発信し続けています。 (関連記事: 日本滞在9年、台湾人フォトグラファー呂柏霏──歩み、成長、そしてこれから 関連記事をもっと読む

台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさん。写真/黃信維
台湾出身のイラストレーター兼グラフィックデザイナーDoryさん。写真/黃信維

Doryさんは、フリーランスとしてブランドのロゴデザイン、イラストの制作、旅行やファッション関連の商業案件などを手がけており、「創作は単なる絵を描くことではなく、文化や感覚を翻訳する作業でもある」と語ります。