2026年に台湾有事?米軍は台湾を守らない──ワシントンで広がる「台湾切り捨て論」

2025-05-28 18:48
台湾海峡で衝突が発生した場合、米軍が果たして迅速に支援に踏み切れるのか──国際社会ではその実効性に疑問を抱く声もある。(AP通信)

中国は近年、台湾海峡周辺で頻繁に軍事演習を行い、両岸の緊張が増している。日本のメディアは先日、中国軍の台湾侵攻が2026年に前倒しされる可能性があると報じ、多くの人々が関心を寄せている。また、実際に戦闘が始まった場合、ビジネス優先の姿勢を貫くアメリカのトランプ大統領が、台湾への軍事支援に踏み切るのかが注目されている。これに対し、元立法委員の邱毅氏はFacebookの投稿で指摘した。アメリカの3名の高官の最近の発言を総合すると、今のワシントンでは台湾を捨てる論、いわゆる取引論が流行しているのがわかる。台湾はもはやアメリカが中国を封じ込めるための駒ではなく、中米の取引でアメリカの経済利益を得るための交渉カードになっている。彼らは心の中では、中国が台頭し、アメリカが相対的に衰退していくという流れがもう止められないということを理解しているのだろう。

日本の《産経新聞》の報道によると、専門家チームのシミュレーションでは、2026年に中国が台湾への行動を起こした場合、最初に危険にさらされるのは沖縄の米軍であり、通信が途絶し、戦闘機が破壊され、司令部が麻痺状態に陥る可能性が高いという。家族の避難のために戦力に影響が出る恐れもある。日本の自衛隊も参戦を決定しているが、米日連合軍が優先するのは中国軍への攻撃を行うことだ。ただ、外部では台湾海峡で本当に衝突が起きた場合、米軍が実際に援助の手を差し伸べることができるのかという懸念がある。

これに対し、邱毅氏は、最近、アメリカの3名の発言が注目に値するとした。第一にトランプ氏である。トランプ氏はウェストポイント(アメリカ陸軍士官学校)でのスピーチで、明らかにウェストポイントを持ち上げ、ハーバードを貶めている。トランプ氏の認識では、ウェストポイントはアメリカの伝統的価値観、英雄主義、そして覇権的思考を象徴する存在だ。要するに、「アメリカ・ファースト」と「永続的な覇権の維持」という理念であり、これは共和党の価値観をも体現しているといえる。一方でトランプ氏は、ハーバード大学が象徴する「DEI」(多様性・公平性・包摂性)の理念に反対の立場を取っている。彼は、民主党が推進し続けてきたこのDEIが、アメリカの覇権を揺るがし、国家としての偉大さを築く原動力を失わせていると批判している。

邱毅氏によれば、第二はアメリカ副大統領J・D・ヴァンス氏である。ヴァンス氏は海軍士官学校での講演で、アメリカは無意味な戦争には関与すべきではないと主張した。無意味な戦争とは、勝算がなく終わらせるのが困難な戦争を指している。ヴァンス氏がこの点を指摘したときに念頭に置いているのは三つの戦争である。一つはアメリカが台湾海峡戦争に介入すべきでないこと、中米両国が戦争すれば、それはアメリカにとって大災害となるということである。二つ目はアメリカがロシア・ウクライナ戦争の泥沼から脱出すべきだということである。三つ目はアメリカがフーシ派武装勢力への軍事行動を早急に終結すべきだということである。

さらに、邱毅氏は、三番目として現在の米軍のインド太平洋司令官パパロ氏を挙げている。パパロ氏はハワイでの軍事会議で、第一列島線では米軍が解放軍には勝てないと述べている。アメリカは台湾海峡戦争に巻き込まれるのを避けるべきであり、台湾を軍事的に支援するべきではないという見解を示している。以上の3名の発言を総合すると、現在のワシントンでは台湾を捨てる論、あるいは取引論が流行しているのを如実に表している。

邱毅氏は続けて、台湾はもはやアメリカが中国を封じ込めるための駒ではなく、中米取引でアメリカ経済利益の駆け引きの材料であると述べている。地政学的に見ると、台湾の戦略的価値は大きく低下しており、アメリカの総合国力は衰退しており、西太平洋で中国を打ち負かす可能性を失っている。3名の高官は明言していないが、彼らの心の中では、中国が台頭し、アメリカが相対的に衰退していくという流れがもはや止められないことを知っているに違いない。

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