郭報道官が語る「なぜ日本メディア?」 台湾・賴総統就任1年で日台関係を重視

2025-05-28 15:39
日本の芸能人櫻井翔氏(左から二人目)と『読売テレビ』上海支局長渡辺容代氏(左から一人目)が台湾総統賴清徳氏(右)にインタビューを行った。(総統府公式サイトより)

台湾の総統府報道官である郭雅慧氏は25日、自身のFacebookに投稿し、賴清徳総統の就任1周年にあたって日本メディアによるインタビューが行われた経緯と背景を明らかにした。また、インタビュー当日に総統自らが用意した細やかな心配りにも触れ、台湾と日本の関係を重視する姿勢や、親しみやすい一面を印象づけた。

郭氏によれば、5月20日の就任1周年を前に、総統府は複数のインタビューを企画。5月3日の『財訊雑誌』、5月17日のポッドキャスト番組『敏迪選讀』、5月13日付『日本経済新聞』の1面トップ記事、そして5月19日に日本テレビ『news zero』で放送されたインタビューを通じて、「いまを、戦前にさせない」とのメッセージを発信した。

日本メディアを選んだ理由について、郭氏は「現在の国際情勢において、台湾と日本の関係は極めて重要だ」と説明。台湾が米国による関税措置や国際的な経済問題、アンチ・ダンピング、原産地偽装などへの対応を進める中、賴総統はインタビューで中国との関係、台湾と米国の関係に加え、台湾と日本との経済・貿易協力の重要性についても強調した。あわせて、台湾海峡の平和維持に向けた強い決意を示し、国際社会に対する台湾への理解と支持を一層深めたいとの意向を示した。

さらに郭雅慧報道官は、インタビューの中で賴清徳総統が日本の政府、国会、社会、そして民間から台湾に寄せられてきた長年の支援に対して、深い感謝の意を表したと説明。そのうえで、今後はさらに幅広い分野での協力を通じて、日台が共に繁栄を実現していくことへの期待を述べたという。

また郭氏は、台湾と日本は歴史的にも深い絆で結ばれており、自然災害の際には互いに助け合ってきたと強調。さらに、権威主義的な脅威が高まる中でも、両国は民主主義、自由、人権といった普遍的価値の擁護に力を尽くしていると述べた。

インタビュー当日には、賴総統自らが日本の取材チームを心温まるもてなしで迎える演出を用意。郭氏によれば、長時間にわたる撮影スケジュールへのねぎらいとして、台湾各地の名物スナックをそろえた「グルメ応援コーナー」を総統府の廊下に設置するようスタッフに指示したという。

このコーナーには、大腸包小腸(パクチーあり・なしの2種)、ミニシュークリーム、サツマイモチップス、蚵仔煎(牡蠣オムレツ)風味のポテトチップス、蜜餞(台湾伝統のドライフルーツ菓子)、パイナップルケーキ、ヌガー、エッグロールなど、多彩な台湾スナックが並んだ。特に、香菜(パクチー)が苦手な櫻井翔キャスターに対しては、総統が香菜なしの大腸包小腸を手渡すなど、きめ細やかな気配りも見せた。

さらに、総統は総統府のロゴ入り記念グッズと保温ボトルを「台湾のルイ・ヴィトン」とも呼ばれるブランドのバッグに詰め、取材班への贈り物として日本との交流を重視する姿勢と誠意を示したという。

郭雅慧報道官は、今回の一連のインタビューにおける政府内の役割分担が明確であったことに触れ、行政院長(首相に相当)である卓榮泰氏が内政・経済・民生分野に関するインタビューに応じた一方で、賴清徳総統は国際関係や地域情勢など外交分野を中心に対応したと説明。メディアごとの特性に応じた「ターゲット分化」を意識し、それぞれの分野で精度の高い情報発信を行ったと評価した。

また、今回インタビューを担当したのが、元アイドルグループのメンバーであり、現在はニュースキャスターとしても活躍する櫻井翔氏であったことから、政治や外交に普段関心の薄い層にも強い影響を与え、「既存の枠を超えた波及効果」があったと述べた。

賴清徳総統は、今回のインタビューを通じて、日本との関係を重視する姿勢を改めて強調するとともに、親しみやすい印象を示した。さらに、心を込めたもてなしによって、台湾が日本に抱く友好的な感情を伝え、将来的に日台両国がより包括的な協力を進めることで、地域の平和と繁栄を共に守っていきたいとの思いを語ったという。

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