中国は米国だけに嫌われてない! メキシコも怒りの声「政府は100%関税をかけろ」中国製品の安値攻勢に抵抗

メキシコは政府に、アメリカのように中国に関税を課すよう求める。(AP通信)

アメリカのトランプ大統領が中国製品に関税を課した後、中国製品は大量にメキシコへ流入し、地元産業に深刻な影響を与えている。メキシコの商業界は公然と怒りを表明し、「中国製品の侵入」に対応するため、中国製品に100%の関税を課すよう政府に求めている。

「中国製品のダンピング」メキシコ政府に100%の関税を要求

メキシコメディア「金融家」(EL FINANCIERO)が21日に報じたところによると、メキシコ市商工会議所(Canaco CDMX)は、中国の企業がアメリカの関税を回避するため、製品を大量にメキシコへダンピングし、不当に安価な手段で競争を不公平にしていると公に非難している。これらの中国製品は品質基準を満たしていないだけでなく、脱税や不法に商業施設を借りて販売している疑いもあるという。

メキシコ市商工会議所の会長カンポセコ(Vicente Gutierrez Camposeco)は、いくつかの輸入業者が中国製品を不法にメキシコに持ち込むために、製品ラベルをこっそりと変更し、「偽メキシコ製」として市場に投入していると名指しした。彼は、メキシコが中国の低価格で粗悪な製品のダンピング地になってはいけないと強調し、これは地元企業を傷つけるだけでなく、消費者を欺くものであると述べた。

このため、メキシコの商業界はアメリカのトランプ大統領を模範に、中国製品に100%の関税を課し、「中国製品の侵入」に対抗して国内企業を保護するよう政府に求めている。カンポセコは、メキシコの税関の汚職問題が深刻化しているため、中国製品が密かに国内に流入していると批判し、当局に対し、中国製品の密輸と不法輸入を強化して取り締まることを要求した

しかし、メキシコ企業が中国製品のダンピングへの懸念と抗議を表明しているものの、米中貿易関税戦争の影響を受けて、中国企業はすでにメキシコへの投資を増大させている

メキシコメディア「千年紀報」(Milenio)は、2023年以降、中国のメキシコへの投資が46%増加しており、2025年第1四半期までに総額約119億ドルに達し、最大の投資国であるアメリカに次ぐものであると報じた。また、中国の投資は主に工業部品、自動車部品、そして製造業といった分野に集中している。これらの産業はメキシコの国内要求に適合するだけでなく、「米墨加協定」(USMCA)の関税優遇を活用して、製品をアメリカ市場へ輸出することができるためである。

報道はまた、メキシコのシェインバウム(Claudia Sheinbaum)大統領が国内産業を支援し、グローバルな競争力を強化する「メキシコ計画」を提案したことで、中国企業が投資機会を見出したと指摘している。今年、中国企業はメキシコで30の投資プロジェクトを開始する予定であり、総額約40億ドルで、範囲は自動車、電子機器、エネルギー、機械、技術分野に及ぶとされている

しかし、米中貿易戦争が始まった後、中国はメキシコへの投資を拡大しているものの、必ずしも順調とはいえない。中国最大の電気自動車メーカーであるBYD(比亜迪)を例にとると、同社はもともとメキシコに1万人の従業員を雇用し、年間15万台の電気自動車を生産する大規模工場を設立する計画を立てていたが、進捗が停滞し、一時は撤退の噂が流れた。

報道によると、中国政府は電気自動車の製造技術がアメリカに流出することを懸念し、商務部はBYDのメキシコ工場建設計画を承認していない。一方で、アメリカのトランプ政権も中国の自動車が「米墨加協定」(USMCA)の関税優遇を利用して「裏口」からアメリカ市場に入っているとたびたび批判し、メキシコ政府に圧力をかけており、メキシコ政府は板挟みになっている。しかし、メキシコ中国商会はこれに反論し、BYDの工場建設の遅れはメキシコ国内の充電インフラが不足し、電気自動車の需要もまだ初期段階にあるため、完全に国内市場の戦略的考慮であり、政治的圧力ではないと主張している。

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