高齢者ドライバー暴走事故再び AEB搭載車でも発生 効果に3つの限界

2025-05-28 15:13
高齢ドライバーによる暴走事故が再び発生!自動緊急ブレーキ(AEB)搭載車を運転していたにもかかわらず事故に。AEBは本当に効果があるのか?鍵となる「3つの制限」とは。(写真/記者爆料網より)
目次

最近、高齢ドライバーによる暴走事故が相次いで発生し、死傷を招いている。このことから、高齢者による運転や車両の安全装備に対する社会の関心が高まっている。5月19日、新北市三峡区の国成街で重大な交通事故が発生。一人の78歳老人がトヨタ・カムリを運転中に暴走し、3人が死亡し、12人が負傷した。また、5月23日には台北市重慶南路一段で78歳の無免許男性がレクサスES300hを運転中に暴走し、8人が負傷した。さらに本日5月27日、台北市大同区延平北路と昌吉街で、またもや74歳の老人が無免許運転中にバックで暴走し、バイクの運転手一人と駐車していたオートバイ二台を倒す事故が発生。事件が明らかになると、ネット上で議論が巻き起こり、多くのネットユーザーが疑問に思っている。「もし車両にAEB(自動緊急ブレーキ/自動停止システム)が装備されていたら、悲劇は防げたのだろうか?」と。

(図/翻攝記者爆料網)
新北市三峽区・国成街で発生した重大交通事故により、3人が死亡、12人が負傷した。(写真/記者爆料網より)
台北市中正區重慶南路一段發生8人傷車禍。(図/翻攝自記者爆料網)
台北市中正区・重慶南路一段で発生した交通事故により、8人が負傷した。(写真/記者爆料網より)

なぜAEBを搭載していても事故が発生するのか?3つの制限が盲点となる

5月23日に台北市重慶南路で暴走した事故車両、レクサスES300hを例に挙げると、メーカー資料によれば、PCSシステム(AEBに相当する、トヨタ車ではPCSシステムと呼ばれる)は車速40 km/h以下であれば、前方車両との衝突リスクを効果的に軽減できる。予測される衝突の際には、システムが自動的に警告を発し、場合によってはブレーキを介入する。しかし、実際の運用でAEB/PCSシステムは万能ではなく、作動条件に制限があるため、突発的な状況には対応しきれない可能性がある。編集チームが2019年版のレクサスES300hオーナーズマニュアルを調べたところ、システムには以下の3つの制限があることが分かった:

ドライバーが急にアクセルを踏み込んだり急ハンドルを切った場合、システムはドライバーが障害物を回避しようとしていると誤判断し、操縦を妨げないためにブレーキを作動させない。
静止物(電柱、壁、路側の障害物など)に高速で接近する場合、特に交差点やカーブの端では、システムが障害物を正確に認識できないことがあり、介入できない可能性がある。
PCSの最適作動範囲は時速40km/h以下、制限速度を超過すると、危険を検知できたとしても警告のみを発することがあり、効果的にブレーキをかけることはできない。

監視カメラ映像と事故現場の証拠によると、事故当時の交差点では三台の車両が赤信号で停車しており、レクサス車両が勢いよく突っ込んだため、車速がPCSシステムの作動範囲を超えていたと推定される。したがってPCSが作動しても事故を効果的に防ぐことは難しかった。 (関連記事: 台湾の小学校前で車が突入 子ども含む12人負傷3人死亡、「また高齢運転」に怒りの声 関連記事をもっと読む

高齢男性はPCS衝突防止システムをオフにしていたのか?

編集チームはレクサスESのPCSシステムをオフにしようと試みたことがあり、ワンタッチでオフにできるものではなく、メーター中央の画面で手動でオフにする必要があることを発見した。また、PCSシステムをオフにした後でも、次に車を始動すると再びオンになる。つまり、毎回車を再始動した際にPCSシステムは再びオンに戻るため、事故を起こした高齢男性がPCSシステムをオフにして運転していた可能性は低いと推測される。

PCS
トヨタのPCS(プリクラッシュセーフティ)システムの作動制限条件。(画像/和泰汽車)
Lexus Safety System+システム
Lexus Safety System+のシステム。下部の注釈には、本システムが衝突を完全に回避できるわけではないことが明記されている。(画像/和泰汽車)
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