半導体は本当にゼロ関税? 米台「10%合意」説を検証 事実確認機関が調査報告

2025-05-28 15:55
対等関税政策は現在90日間の交渉期間に入っている。イメージ画像。(資料写真、AP通信)

4月に米国が「対等関税」措置を発表して以降、ドナルド・トランプ大統領の予測不能な動きが国際社会の注目を集めている。関税の適用まで90日間の猶予期間が設けられる中、米中貿易摩擦には一時的な緩和の兆しも見られるが、先週には欧州連合(EU)に対し6月1日から最大50%の関税を課すと警告していたトランプ氏が、その期限を7月9日まで延長すると表明した。

こうした中、依然としてトランプ氏の関税政策には不透明感が残る中で、台湾と米国の交渉が成立し、対等関税率が10%に決まったとの情報がインターネット上で広まり始めている。これを受けて、台湾のファクトチェック機関「台湾事実確認センター」は、情報の真偽に関する調査報告を公表した。

米トランプ大統領が4月に発表した「対等関税」措置が、世界市場と経済に波紋を広げている中、台湾では「台米関税交渉が成功し、対等関税は10%、半導体製品はゼロ関税になった」とする内容の画像が、賴清徳総統の名義でインターネット上に出回った。

この画像は5月24日、SNSやネット掲示板を通じて複数のバージョンが拡散され、「台湾は前進を続け、変局を突破し、危機をチャンスに変える」といった肯定的な文言のほか、「賴清徳はアメリカに跪き、台湾を売り渡した」といった批判的なメッセージも見られた。

調査の結果、拡散された画像は、賴総統が1月21日にトランプ氏の就任を祝って投稿した内容を改変したものであり、賴総統の公式Facebook、Instagram、Threadsには、関税交渉の「成功」に関する投稿は確認されていない。

台湾と米国の関税交渉の進展をめぐり、台湾のファクトチェック機関「台湾事実確認センター」は、通信社「中央社」の5月16日付報道を引用し、双方は4月11日に初のオンライン会議を実施し、続いて4月末にはワシントンで2日間にわたる対面協議を行ったと伝えた。

また、総統府は5月26日に事実確認センターの問い合わせに対し、「台湾と米国の対等関税交渉は現在も進行中であり、インターネット上で拡散している『関税合意カード』は偽情報である」と回答した。

加えて、調査によると、総統府や行政院の公式サイト、交渉に出席した行政院副院長・鄭麗君氏のFacebook、さらにトランプ氏のTruth Socialアカウント、米ホワイトハウス、通商代表部(USTR)、商務省など、米政府関連の公式情報源においても、「台湾と米国が関税合意に達した」とする発表や資料は確認されていない。

台湾のファクトチェック機関「台湾事実確認センター」は、台湾国内の主要メディア(中央通信社、聯合報、自由時報、中国時報、TVBSなど)や、AP通信、ロイター、BBC、ブルームバーグ、エコノミストといった国際メディア、さらにニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポスト、FOXニュース、NBC、CBSなど米国の大手メディアにおいても、「台湾と米国が対等関税で合意に達した」とする報道は確認されていないと指摘している。

米国の対台湾関税政策に関しては、トランプ大統領が4月2日、貿易黒字の大きい国々に対して「対等関税」を導入する方針を発表。台湾に対しては関税率32%が設定され、当初は4月9日に発効予定だったが、その後90日間の猶予期間が設けられた。

現時点では、すべての輸入品に対し一律10%の「基準関税」が適用されている。ただし、半導体、医薬品、木材、銅、エネルギー、一部の重要鉱物などは「対等関税」の適用対象から明確に除外されており、32%の追加関税は課されない。また、これらの一部品目については10%の基準関税すら免除されている。

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