馬英九元台湾総統、認知症疑惑を否定 精神科医が動画で指摘した「複数の違和感」

馬英九基金会を巡る騒動は現在も収束していない。(資料写真/顔麟宇撮影)
馬英九基金会を巡る騒動は現在も収束していない。(資料写真/顔麟宇撮影)

台湾の馬英九元総統が設立した財団の財務問題を巡る騒動が、「馬家の内紛」へと発展している。馬氏の姉、馬以南氏と、妻の周美青氏がこのほど、共同声明を発表し、馬氏に適切な医療ケアを施すため、姉の馬以南氏に関連事務の執行を委託すると表明した。

しかし、馬氏はその直後、自ら「(妻らの)声明は本人の同意を得ていない」と反論する動画を発表し、自身が認知症を患っているとの疑惑を強く否定した。

これに対し、精神科医の沈政男氏は22日、自身のYouTubeチャンネルでこの動画について見解を示した。沈氏は、馬氏が直筆で文書を書く様子を公開したのは、認知症ではないことを示す意図があったとみられる一方で、動画の中にはむしろ認知機能低下をうかがわせる手がかりもあると指摘した。また、一連の騒動で最も胸が痛むのは、妻の周氏の立場だとも語った。

動画内の乱雑な筆跡や四字熟語の間違いに懸念

沈氏は動画の冒頭で「馬元総統、私を訴えないでほしい」と前置きした上で、馬氏が認知症だと断定する意図はなく、あくまで時事問題としての論評だと強調した。

馬氏が認知症か否かについて、馬氏の側近として知られる元国家安全会議(国安会)秘書長の金溥聡氏が「馬氏本人の判断次第だ」と発言したことについては、認知症に関する基本的な知識が完全に欠如していると批判した。

沈氏はさらに、馬氏の動画にはいくつかの懸念点があると指摘している。第一に、文字を書く過程で周囲からの助言を必要としている点だ。第二に、筆跡が以前より乱雑になり、文章や言語表現が相対的に乏しくなっている点である。

動画の中で馬氏は「財団の財務に問題が生じ、非常に怒っている」という趣旨の言葉を何度も繰り返していた。また、「親痛仇快(身内を悲しませ、敵を喜ばせる)」という四字熟語を書いた際も、金氏の助けを借りていた。

動画内では、馬氏がまず「親重仇快」と勘違いした上で「はどの漢字か」と尋ね、金氏が何を言いたいのかを確認し、正しい四字熟語を提示した。

20260331-元国家安全会議秘書長の金溥聡氏、31日に刑事警察局へ出向き、AI生成の誹謗中傷動画およびコメンテーターを提訴。(柯承恵撮影)
馬英九氏が公開した動画の中では、金溥聡氏が随時声をかけて助言していた。(資料写真/柯承恵撮影)

動画自体が馬氏の認知機能低下を示す手がかりに

​沈氏は、中高年に見られる一般的な物忘れとして、人の名前や、長らく訪れていない地名、しばらく食べていない果物の名前を忘れる例を挙げた。これらだけで、直ちに問題があるとは言えないという。

一方で、動画の最後に署名と日付を記入する際、馬氏が周囲の助けを必要としていた点について、沈氏は注意を促した。沈氏によれば、日付や曜日が言えないことは、軽度認知症の初期に見られる典型的な症状の一つだという。

沈氏は、金氏が馬氏の状態を確認したいのであれば、毎日「今日は何月何日か」「何曜日か」と尋ねることから始めるべきだと述べた。また、動画内で馬氏が同席していた弁護士の名前を覚えていなかったことにも言及した。 (関連記事: 【舞台裏】馬英九基金会で内紛、周美青夫人が激怒 「馬氏の親族」と理事会が、執行長代行の解任巡り正面衝突へ 関連記事をもっと読む

沈氏はさらに、かつて愛妻家として知られていた馬氏が、現在では妻である周氏の声明を全く信用していない点も、以前の馬氏とは異なると述べ、総合すると、皮肉にもこの動画自体が、馬氏の認知機能が低下している可能性を示す手がかりを提供しているのではないかとの見方を示した。

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