今年末で2期10年の任期を終える国連のアントニオ・グテーレス事務総長は20日、訪日の最終日に日本記者クラブで会見を行った。国連の主要機関のトップで構成される国連システム事務局長調整委員会の会合がアジアで初めて東京で開催されるのに合わせて来日した事務総長は、日本が国連加盟70周年の節目を迎えるにあたり、報道の自由と日本の民主主義を支えるジャーナリストに敬意を表した。
日本の国連貢献を評価、被爆者と拉致被害者家族に言及
グテーレス事務総長は、2日前に高市早苗首相と会談したことを明かし、国連が日本とのパートナーシップを深く誇りにしていると述べた。日本が多国間主義と協力を擁護し、飢餓層への食料提供、紛争地での避難所支援、女性や女児の保護、パンデミック時の医療支援、平和維持活動のサポートなど、人間の安全保障を推進してきたと高く評価した。
また、広島と長崎の平和式典に参加した経験に触れ、被爆者の勇気と平和のメッセージに敬意を示したほか、アフリカ開発会議(TICAD)や三角パートナーシップ・プログラムを通じた平和維持要員の訓練、東日本大震災の経験を生かした防災分野でのリーダーシップを称賛した。さらに、北朝鮮による日本人拉致問題を「受け入れられない人権侵害」と非難し、被害者家族との連帯を表明するとともに、昨年の大阪・関西万博への参加にも言及した。
国際法軽視に警鐘、安保理改革は「絶対に必要」と強調
現在の国際情勢については、紛争、気候危機、格差によって世界が揺らいでおり、インフレや生活苦の危機が深刻化していると指摘した。中東情勢によるエネルギー・原材料価格の高騰にも触れ、ホルムズ海峡での航行の自由回復と紛争の政治的解決の必要性を訴えた。とりわけ、大国が国際法に違反し、安保理での拒否権を免責の手段として行使している現状を厳しく批判し、不処罰の横行が多国間主義の危機を招いていると警告した。
こうした状況に対応するため、グテーレス氏は国連安全保障理事会の改革が「絶対に必要」だと強調した。常任理事国3カ国が欧州である一方、世界人口の半分を占めるアジアからは1カ国のみで、中南米やアフリカが代表されていない現状は、正当性と実効性の深刻な問題だと述べた。また、途上国の代表権を拡大する国際金融機関の改革、気候変動への対応としての再生可能エネルギーへの移行、人工知能(AI)の安全管理に向けた政府とテクノロジー企業の連携が求められているとした。
国連財政危機や核軍縮にも言及、国際協調を呼びかけ
質疑応答では、国連の財政危機について言及し、米国が平和維持活動と通常予算を合わせて30億ドル(約4700億円)以上を滞納している現状を指摘した。この資金不足に対応するため、2026年に事務局予算を22%、平和維持要員を25%削減する厳しい措置を実行したことを明かした。この削減により組織の破綻は免れたものの、国連の支援を必要とする脆弱な人々がワクチンや水、衛生面の支援を受けられず命を落とす結果になったと厳しく批判した。
また、トランプ米大統領の訪中と、それに続く習近平国家主席の訪米・国連総会参加の可能性について問われると、習氏の参加を歓迎する意向を示した。最後に、ニューヨークで開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に関連し、核兵器が近代化・増加する現状に強い危機感を示し、核不拡散と効果的な軍縮の重要性を強調した。グテーレス氏は、天皇陛下との面会のため予定通り会見を終了した。
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編集:小田菜々香













































