『台湾漫遊鉄道のふたり』がブッカー国際賞受賞 台湾文学初、中国語作品でも初

2026-05-25 15:27
小説『台湾漫遊鉄道のふたり』がブッカー国際賞を受賞し、複数の歴史的記録を塗り替えた。台湾の作家・楊双子氏(左)が執筆し、翻訳家の金翎氏(右)が英訳した同作は、国際的な文学賞「ブッカー国際賞」に輝いた。(写真/ブッカー賞公式サイトより)
小説『台湾漫遊鉄道のふたり』がブッカー国際賞を受賞し、複数の歴史的記録を塗り替えた。台湾の作家・楊双子氏(左)が執筆し、翻訳家の金翎氏(右)が英訳した同作は、国際的な文学賞「ブッカー国際賞」に輝いた。(写真/ブッカー賞公式サイトより)

世界の出版界や文学愛好家にとって、ブッカー賞は国際的に最も注目される文学賞の一つとされる。2026年5月19日、英ロンドンのテート・モダンで、台湾文学にとって歴史的な瞬間が刻まれた。台湾の作家、楊双子氏が執筆し、台湾系アメリカ人の翻訳家、金翎(リン・キン)氏が英訳した小説『台湾漫遊鉄道のふたり』(英題:Taiwan Travelogue)が、2026年の「ブッカー国際賞(International Booker Prize)」を受賞した。

中国語で書かれた作品が同賞を受賞するのは史上初。楊氏と金氏はそれぞれ、この栄誉を手にした初の台湾人作家および台湾系翻訳家となった。

1930年代の日本統治下の台湾を舞台にした本作は、ポストコロニアル的な歴史へのまなざし、台湾の食文化をめぐる旅、そして女性同士の親密な関係を巧みに重ね合わせた作品だ。英国で販売が伸びたほか、世界各国の有力候補を抑えて受賞に至った。1930年代の台湾の鉄道と食卓から始まった物語は、約1世紀を経て、ロンドンのテート・モダンへとたどり着いたことになる。

楊氏と金氏は、文学と翻訳を通じて、台湾の物語が植民地支配や歴史的傷痕だけでなく、愛や食、自由をめぐる豊かな物語として世界に届くことを示した。

ブッカー国際賞とは何か

​今回『台湾漫遊鉄道のふたり』が受賞したブッカー国際賞は、翻訳文学に焦点を当てた賞である。米紙『ニューヨーク・タイムズ』によると、同賞は当初、作家の生涯の功績をたたえる賞だったが、2016年に規定が変更され、過去12カ月間に英国またはアイルランドで出版され、英訳された単一の小説作品を表彰する形となった。

近年の受賞作には、アンナ・モスコヴァキス氏が翻訳したダヴィド・ディオップ氏の『夜、すべての血は黒い』や、マイケル・ホフマン氏が翻訳したジェニー・エルペンベック氏の『Kairos(カイロス)』などがある。
(関連記事: 楊双子氏「ドラゴンボールが読書の原点」 『台湾漫遊鉄道のふたり』創作秘話を語る 関連記事をもっと読む

今年のブッカー国際賞の賞金は5万ポンドで、約1070万円に相当する。英BBCによると、文学交流における翻訳の重要性を示すため、賞金は41歳の著者である楊氏と翻訳者の金氏で折半される。台湾の中央通信社が引用したブッカー賞財団の資料によれば、楊氏は同賞史上7人目の女性作家、金氏は10人目の女性翻訳家の受賞者となった。

『台湾漫遊録』がブッカー国際賞を受賞し、感動の抱擁を交わす楊双子氏と金翎氏。台湾の長編小説『台湾漫遊録』が19日、ロンドンで国際的な文学賞「ブッカー国際賞」を受賞した。作家の楊氏(後ろ姿)と英語版翻訳者の金氏が感動の抱擁を交わしている。(ブッカー賞財団提供)中央通信社記者・陳韻聿ロンドン電 2026年(民国115年)5月20日
台湾発の長編小説『台湾漫遊鉄道のふたり』が19日、ロンドンで国際的な文学賞「ブッカー国際賞」を受賞した。作家の楊双子氏(背中側)と英訳を手がけた金翎氏が、感動の抱擁を交わした。(ブッカー賞財団提供、中央通信社・陳韻聿ロンドン発)

ブッカー賞の起源と変遷

ブッカー賞の歴史は1969年にさかのぼる。当初は英連邦、アイルランド、南アフリカ共和国、後にジンバブエの国民を対象としていたが、2014年に応募条件が緩和され、英語で執筆され英国で出版された書籍であれば応募可能となった。同賞は1969年から2001年まで「ブッカー・マッコーネル賞(Booker-McConnell Prize)」、2002年から2019年まではマン・グループの協賛により「マン・ブッカー賞(Man Booker Prize)」と呼ばれ、2019年6月以降はクランクスタート(Crankstart)が協賛を引き継いでいる。ノーベル文学賞と同様に年1回授与され、存命の作家のみが対象となる。

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