台湾政府が2018年から導入している外国人向けの特別居留制度「就業ゴールドカード(Employment Gold Card)」の発給数が、2025年4月末時点で累計1万3,191人に達し、対象国・地域も101に拡大した。これは台湾の国家発展委員会(国発会)が実施する人材招致政策の一環であり、グローバルな高度人材の受け入れ拡大を示している。
「就業ゴールドカード」とは? 多様な分野で外国人材を募集
就業ゴールドカードは、就労許可、居留ビザ、外国人居留証、数次再入国許可の「4証一体型」のカードで、特定分野で専門性を有する外国人材に発給される。分野は経済、科学技術、教育、文化芸術、スポーツ、金融、法律、建築設計、国防、デジタルなど多岐にわたる。
申請者は台湾での就職先を持たずとも申請可能で、最長3年間の居留が認められ、本人だけでなく家族も同伴可能。税制優遇、健保加入の待機期間免除、永住権申請の簡素化などの特典も用意されており、利便性の高さが評価されている。
日本は申請国第3位に 米国・香港に次ぐ人気国
発給数の国別ランキングでは、アメリカ(3,247人、25%)が最多で、次いで香港(1,519人、11.5%)、日本(1,003人、7.6%)が上位を占めている。日本は2022年に英国を抜いて3位となって以降、安定した伸びを示している。
インドからの申請も急増 現地連携とプロモーション強化で成果
また、ソフトウエアやIT技術で知られるインドも注目を集めており、発給数では第4位。台湾政府はインドのバンガロールなどを人材獲得の重点エリアに位置づけ、現地での就職博や大学との連携を強化している。
有名人の取得も話題に NBA選手や韓国チアリーダーも台湾へ
著名な取得者としては、元NBA選手のドワイト・ハワード氏(台湾バスケットボールチーム所属)や、韓国の人気チアリーダーで観光大使も務めるイ・ダヘ氏が含まれる。彼らはスポーツ・文化分野での実績が認められ、文化部からの推薦によりゴールドカードを取得している。
発給数は前年比34.8%増 経済・科学技術分野が主力に
2024年末の時点で、年間発給数は1万2,082人に達し、前年比34.8%の成長を記録。分野別では経済分野が46%と最多で、次いで科学技術(18%)、教育(15%)、金融・文化芸術・デジタル分野が各6%を占めている。
台湾では今後も就業ゴールドカードの拡充を続ける方針で、現在「外国専門人材招聘及び雇用法」の改正案が行政院で審査を終え、立法院での審議を待っている。法案が年内に成立すれば、台湾はますます世界中の高度人材にとって魅力的な就労・居住地となる見通しだ。
編集:梅木奈実 (関連記事: 台湾に「第二の護国神山」?米軍需と連携、半導体に続く戦略産業に浮上 | 関連記事をもっと読む )
台湾ニュースをもっと深く⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp