未来を創る共創の場、高輪に集結──GATEWAY Tech TAKANAWA 2025現地レポート

2025-05-26 12:18
JR東日本主催「GATEWAY Tech TAKANAWA 2025」が高輪で開催、初の国際規模イベントに産官学から3,000人超が参加。(写真/黃信維撮影)
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JR東日本が主催する大型イノベーションイベント「GATEWAY Tech TAKANAWA 2025」が、5月13日から14日にかけてTAKANAWA GATEWAY CITYにて盛大に開催された。本イベントは、同地区の都市再開発プロジェクト始動後、初となる国際規模の交流プラットフォームであり、産官学界から3,000人を超える参加者を惹きつけた。《風傳媒》も現地で取材を行い、複数の企業にインタビューした。

アジアのテクノロジーが高輪に集う:GATEWAY Tech TAKANAWAで見えた未来図

「地球共益の実現に向けた共創の祭典」を理念に掲げ、スマートシティ、技術革新、サステナビリティといった重要テーマに焦点を当てながら、スタートアップピッチコンテスト、高輪地球共益ファンド、そして商業イノベーション拠点「LiSH」を融合させ、広域的なスタートアップ・エコシステムの構築を目指している。

オードリー・タン氏、東京で講演。太陽花運動の経験をもとに、AI詐欺対策やデジタル民主主義による社会的信頼の再構築について語った。(黃信維撮影)
オードリー・タン氏、東京で講演。太陽花運動の経験をもとに、AI詐欺対策やデジタル民主主義による社会的信頼の再構築について語った。(黃信維撮影)

オードリー・タン氏が語る「地球共益」──AI時代の民主主義と制度設計

本イベントには多くの国際的スピーカーやオピニオンリーダーが招かれ、台湾の無任所大使であり前デジタル発展部部長のオードリー・タン氏も登壇。「地球共益の実現に向けたメッセージ」と題した基調講演を行い、台湾における過去10年のデジタル民主主義の実践を軸に、AI時代における技術を通じた対話と合意形成、制度革新の可能性について語った。生成AIによる新たな挑戦に対し、民主国家は連携してレジリエントなオンライン公共空間を構築すべきだと強調した。

JR東・中川常務「高輪は未来の実験場」。オードリー・タン氏の講演にも期待を示した。(黃信維撮影)
JR東・中川常務「高輪は未来の実験場」。オードリー・タン氏の講演にも期待を示した。(黃信維撮影)

風傳媒も現地で複数企業を取材、革新の波を追う

JR東日本の常務取締役 兼 マーケティング本部長である中川晴美氏は、「タン氏がテクノロジーを通じて社会をつなぎ、世界規模の共創ビジョンを語ってくれることを大変光栄に思います。彼女の講演を心待ちにしています」と述べた。

SportipのAIは写真や動画から体の歪みを検知し、姿勢異常を予測。個別に最適化された運動プログラムも提案する。(写真/黃信維撮影)
SportipのAIは写真や動画から体の歪みを検知し、姿勢異常を予測。個別に最適化された運動プログラムも提案する。(写真/黃信維撮影)

AIで体の歪みを可視化、Sportipが提案する次世代の健康習慣

《風傳媒》は会場にて、日本のスタートアップ企業Sportipに取材を行った。同社はAIによる動作解析を活用したヘルスケアソリューションを展示し、その技術はフィットネスクラブや理学療法機関、さらにはプロ野球・バスケットボールチームなど専門的なスポーツチームにまで広く導入されていると説明した。

Sportipによると、写真や動画を撮影するだけで、ユーザーの体の歪みを検知し、将来的に慢性的な痛みを引き起こす可能性のある姿勢異常を予測できる。AIアルゴリズムにより、筋力トレーニングやヨガ、姿勢矯正といった個別最適化された運動プログラムを提案するシステムだという。 (関連記事: 「2014年、政府の信頼度はわずか9%」オードリー・タン、東京で講演:太陽花運動からAI詐欺対策へ──台湾、デジタル民主主義で社会的信頼を 関連記事をもっと読む

「ユーザーの現時点での身体状態に応じて、AIが多数のメニューから最適なトレーニング内容を自動的に提案します」と同社は説明し、すでに日本国内の多くのスポーツ施設やリハビリセンターに導入されており、用途や規模に応じた柔軟な価格体系も提供しているという。また、現在は「未来シミュレーション」機能を開発中で、トレーニングを継続した場合としなかった場合の身体状態の変化を可視化することで、ユーザーの動機づけに繋げたい考えだ。年内の実装を目指している。