賴総統、訪米国議員に購買リストを提示 米国メディアが特別報道

2025-05-31 22:32
台湾総統の賴清徳氏は、訪台した米国議会代表団と会見し、台湾が米国製品の購買を拡大する意志を正式表明した。(資料写真、顏麟宇撮影)
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米トランプ大統領が最近、台湾製品に対して最大32%の関税を課すと発言し、台米間の経済貿易に緊張が生じている。これに対し、賴清德総統は今週、来訪したアメリカの議会代表団を迎えた際に、台湾がエネルギー、農産品、工業製品、軍事装備を含むアメリカ製品の調達を拡大し、アメリカ側の懸念に応えるとともに、双方向の経済貿易と安全保障の関係を強化していくと正式に表明した。フォックスニュースなどのアメリカメディアも特集を組んで報じた。

この会談は、アメリカ連邦下院自然資源委員会の委員長であり、アーカンソー州選出の共和党下院議員であるブルース・ウェスターマンが率いる訪問団によって行われた。今週、最初に台湾を訪れたアメリカの議会代表団となった。その後すぐに、イリノイ州選出の民主党上院議員タミー・ダックワースも団を率いて台湾を訪れ、アメリカ議会の両党が台湾との関係を重視していることを示した。

賴清德:アメリカからの調達を継続的に拡大する

賴清德は会談の中で、国際情勢が劇的に変動する中、台湾はアメリカと多くの重要な分野での協力を強化すると公に述べた。「我々は、アメリカからの調達を継続的に拡大していく。範囲は天然ガス、石油などのエネルギー資源や農産品、工業製品、さらには軍事調達にまで及ぶ」と述べ、「これらの努力は、双方向の貿易のバランスを取り、台湾のエネルギー自立、経済の強靭性、貿易発展の全体的な実力を強化するのに役立つ」と語った。

アメリカ側が長年にわたり台湾への武器販売をサポートしてきたことに対し、賴清德は感謝の意を表し、アメリカと共にアジア太平洋地域の安定と平和を維持するために安全保障の協力を深化させると強調した。「我々は、アメリカが防衛装備を継続的に提供し、自衛能力の向上を助けてくれることに感謝する。台湾はアメリカと手を携え、地域の安全が損なわれないようにしっかりと保証する」と述べた。

今回の議会訪問団のタイミングは、TSMCがアメリカでの投資を拡大すると重大な発表をした約1か月後であり、両国間の技術と経済貿易の協力状況が注目を集めている。TSMCは今年3月に、アメリカで総額1000億ドルに上る新たな投資を行うことを発表し、アメリカの政策への応答および産業展開の一環としている。

台湾のハイテク産業は米中技術競争において重要な役割を果たす

この計画は、TSMCがアリゾナ州に既に確立している基盤の上に成り立っている。同社は2020年に120億ドルを投じて最初の先進的なチップ工場を設立することを表明し、昨年4月には250億ドルを追加し、2つ目の工場建設を発表した。そして今回は、同地に3つ目の工場を増設する計画を示し、総投資額は650億ドルに達する見込みである。TSMCはまた、アメリカ政府の《CHIPS法案》で最高額の補助金である66億ドルを受け取り、アメリカでの半導体生産基地の建設を推進する助けとしている。

補助金以外にも、TSMCは追加の連邦ローンおよび税負担優遇措置を受けることになっており、アメリカ政府が半導体産業の自主性を強化しようとする政策の方向を示していると共に、台湾のハイテク産業が米中技術競争の中で重要な役割を果たしていることを明らかにしている。

今回の賴清德とアメリカ議会代表との会談は、台米貿易の動向を左右するだけでなく、両国が経済、エネルギー、安全分野で多重の展開を行っていることを反映している。米中の対立が激化する中、台米の双方向の関係の行方は、国際社会の注目を集め続けるであろう。

責任編集:許詠翔

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