トランプ2.0の台湾の米中関係における役割は?東大学者が北京の「一つの中国政策」へのさらなる挑戦を分析

東京大学東洋文化研究所特任研究員の林泉忠博士が、トランプ大統領のホワイトハウス復帰が中国、台湾、日本に与える影響について語る。(資料写真:黄信維撮影)


東京大学東洋文化研究所特任研究員林泉忠博士は本日(18日)、東京にて講演を行い、アメリカ合衆国大統領トランプ氏のホワイトハウス復帰が中国、台湾、日本などに与える影響について論じた。同氏は、トランプ政権が再び政権を執った場合、外交、軍事、経済などの分野において「台湾カード」を強化する可能性があり、米中の角逐における台湾の立場がより一層際立つ可能性があると同時に、米中台関係にも変化が生じる可能性があると指摘した。

「アジア太平洋フォーラム」主催のもと、林泉忠氏は日本参議院議員会館の会議室にて「トランプ2.0が中国、台湾、日本に与える影響」と題する講演を行った。講演では、アメリカ前大統領トランプ氏が再び政権を執った場合の国際戦略に焦点を当て、米中台関係の最新の展開について分析を行った。

林泉忠氏は、過去にトランプ氏が最初の任期中に中国に対して強硬政策を採り、台湾が米国の対中国牽制における重要な要素の一つとなったことを指摘した。トランプ氏がホワイトハウスに復帰した場合、台湾問題が再び強化される可能性が高く、中国に対する圧力として用いられる可能性すらあるとした。同氏は、トランプ氏の対台湾戦略について七つの可能性があると指摘し、米台軍事交流の強化、米国軍艦の台湾寄港、国際組織における台湾の地位向上、さらには米台公的機関の改称を推進し、北京の「一つの中国」政策に挑戦する可能性があるとした。

台米関係の緊密化はリスク低下を意味せず

軍事分野については、林泉忠氏は、トランプ氏が第一期政権において「台湾旅行法」により米台高官の相互交流を緩和したものの、米国の国防高官の台湾訪問は実現していないと述べた。同氏は、トランプ氏が政権に復帰した場合、米軍人員の長期駐台や台湾の米軍合同演習参加機会の増加など、米台軍事協力をさらに深化させる可能性があると予測した。ただし、これらの動きは必然的に中国の強い反発を招き、台湾海峡の緊張をさらに高めることが予想される。

経済面において、林泉忠氏は、米国が近年、特に半導体サプライチェーンの分野で台湾との経済協力を積極的に推進していることを指摘した。TSMCの米国進出計画はすでにグローバルサプライチェーンにおける台湾の重要な地位を示しており、トランプ氏が再び政権を執った場合、この傾向がさらに強化され、米国のサプライチェーンにおける台湾の役割がより一層安定したものとなる可能性がある。しかしながら、これは台湾と中国の経済貿易関係にさらなる衝撃を与える可能性があり、台湾は今後、二大強国間での経済的バランスにおいてより大きな課題に直面することになる。

さらに林泉忠氏は、トランプ2.0時代における米中台三者関係がより複雑な変化を見せる可能性があると分析した。バイデン政権が多国間メカニズムを通じて同盟国と共同で中国に対抗する方針を取っているのに対し、トランプ氏の戦略はより一方的な行動を好み、貿易圧力や経済制裁をより重視する可能性がある。これは台湾にとってより多くの機会をもたらす可能性があるが、同時に政治的・経済的リスクも増大させる。今後、台米関係はより緊密になる可能性があるが、それはリスクの低下を意味するものではない。むしろ、台湾は米中競争にさらに深く巻き込まれることとなり、二大強国間でいかに柔軟に対応していくかが台湾の今後の重要な課題となる。

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