論評:韓国瑜は賴清徳の掌中からの脱却可能か

2025-02-10 17:42
立法院代表団の訪米後、頼清徳総統は五院の長官を招集し、現在の政治的膠着状態の調整を図るため2度目となる総統府での韓国瑜立法院長との会談を予定。(総統府公式サイト)
立法院代表団の訪米後、頼清徳総統は五院の長官を招集し、現在の政治的膠着状態の調整を図るため2度目となる総統府での韓国瑜立法院長との会談を予定。(総統府公式サイト)
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与野党の対立が1年間続く中、頼清徳総統は憲法に基づく「総統院際調整権」を発動し、本日五院の長官を招集し「国政」について協議する。前向きに捉えれば、これは頼清徳が「国家元首」として国政を円滑に進める責任を正面から受け止めたことを示している。しかし、一方でこのような「儀式的な協議」が具体的な結論を導き出し、現在の膠着状態を効果的に解消できるのか、疑問を抱かざるを得ない。

院際調整―総統はいかにして「当事者」かつ「調停者」となれるのか

憲法第44条は「総統は院と院の間の争いについて、各院の長官を招集して協議による解決を図ることができる」と規定。この条項は憲法制定以来一度も発動されていない。その概念は、国民大会によって選出された総統を「政権機関」、五院を「治権機関」として位置づけ、総統が超然的な立場から争議を調整できるというものである。しかし、このような「憲政概念」の論理性には疑問が残る。国民大会も立法院も国民の直接選挙によって選出され、監察院と総統は間接選挙であるにもかかわらず、なぜ総統は「政権機関」となり、立法院と監察院は「治権機関」となるのか。

この憲法上の権限は、これまでの歴代総統が行使を避けてきた。権威主義時代の蒋介石・蒣経国両総統は言うまでもなく、民主化後の修憲以降も、陳水扁前総統と馬英九前総統は共に、この憲政権力の行使を検討したものの、王金平前立法院長に婉曲に断られている。拒否の理由は単純で、第四原発建設中止は行政院が立法院で可決された政策と予算案を無視したケース、ひまわり学生運動は根本的に国会における与野党の対立であった。最終的に第四原発建設中止問題は、大法官会議が行政院による一方的な建設中止を違憲とする解釈を示した後に決着した。

賴政権の状況は陳政権と類似しており、いずれも与党が少数、野党が多数という状況下にある。争点の核心は依然として国会における与野党の対立にある。昨年末、立法院が財政収支劃分法・選挙罷免法・憲法訴訟法の改正案を可決した際にも、賴清徳が院際調整権によって争議を解決しようとしたとの噂があったが、総統府はこれを否定。しかし今となっては、「院際調整権」が常に賴清徳の計算の中にあったことが証明された。賴清徳の躊躇は、おそらくこの権限を行使した後の実効性について楽観視できなかったためだろう。 (関連記事: 論評:メディアの自己規制は民主主義の破綻か? 関連記事をもっと読む

総統と所属政党が争議の源である場合-どのように調整するのか?

まず、総統がこの憲法本文で一度も使用されていない権限を行使すべきかどうかについて、法曹界ではすでに異なる見解が存在。特に憲法改正後、総統の「超然」的な地位は失われ、国民直接選挙による総統は「調停者」から「当事者」となった。五院のうち立法院のみが民意による直接選挙で構成され、他の四院の人事はすべて総統の指名による。行政院長に至っては立法院の同意さえ必要としない。好意的に解釈すれば、行政院長は総統のCEOだが、実際には憲法上の「最高行政首長」はすでに総統の「部下」となり、総統の命令のみに従う。このような状況で、総統がどこから「中立超然」な立場を得て、紛争を調整できるというのか。さらに、総統は与党主席も兼任しており、総統の立場は民進党の立場だ。野党との対話なしに、どのように調整できるのか。

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