唐獎特集映像:許倬雲氏が語る戦争と平和 戦争体験から導く両岸協力と文化復興への願い

唐賞教育基金会は最近、2024年漢学賞受賞者許倬雲の専題映像「古今を縦横に論じ、世に警鐘を鳴らす史学の泰斗」を制作し、94年にわたる人生経験、学術の進展、そして現代の世界情勢への洞察を振り返る。(張鈞凱撮影)

唐奨教育財団は20日、2024年の6人の唐奨受賞者に関する特集映像を公開し、11日には台湾大学歴史学部で漢学賞受賞者・許倬雲氏の特集映像試写交流会を開催した。映像は許氏の学問的思考過程と学術的貢献を包括的に紹介。許氏は幼少期に目撃した戦争の残虐性や、近年感じている米国覇権の衰退についても言及し、両岸が協力して災難の渦を乗り越え、「天人合一」の精神を基礎に中国文化を復興させることへの期待を語った。

東西文明から異なる人生観を見出し、若者たちに生きる指針を見つけるよう励ます

11日に開催された許倬雲院士特集映像「古今を縦横に論じ世に警鐘を鳴らす史学の泰斗」の試写交流会には、許氏の家族代表である李建中氏、王大華氏、台湾大学歴史学部の中国史学者である甘懷真氏、宋家復氏、衣若蘭氏、傅揚氏、また学部生や修士課程の学生らが参加。取材執筆を担当した龔邦華記者も出席し、台湾大学歴史学部主任の陳慧宏氏と唐奨教育財団執行長の陳振川氏が司会を務めた。

特集映像は許氏の成長過程から始まり、幼少期からの早熟な自学自習と優秀な成績で台湾大学外国語学部に入学したことを紹介。卓越した人文教養が認められ、当時の台湾大学学長・傅斯年氏の勧めで歴史学部に転部。恩師である考古学者・李濟氏の指導のもと、中国古代史研究に考古学の知見を取り入れ、10年をかけて中国大陸の考古現場を調査し、各遺跡で1、2ヶ月滞在して研究を重ねた。

許氏の研究手法は中央研究院の研究助手時代に確立され、「大局を見据えながら細部から取り組む」というものだった。渡米後は異なる学派の視点を融合し、自身の洞察と幼少期の農村観察経験を加えて「中国古代三部作」(『中国古代社会史論』『西周史』『漢代農業』)を完成させた。社会科学的手法で歴史を分析し、エリート層だけでなく社会の底辺からの視点も重視。血縁集団集約農業文官制度を「中国文化の三原色」として提唱し、西洋の漢学界で高く評価され、西洋の中国理解促進に大きく貢献した。


東西文明の比較研究に長けた許氏は、西洋の人生観が闘争と生存競争を重視するのに対し、中国は天人合一を追求すると指摘する。世界史の視点から中国史を見つめ、中国から世界を見る視座を持ち、『萬古江河』とその続編『経緯華夏』で中国の盛衰を描いた。許氏は「私は中国を賛美しているのではなく、愛護しているのだ」と語る。94歳の高齢にある許氏は、中国文化の精髄をもって世に警鐘を鳴らし、若者たちに「内面に向かい、自分を見つめ直す」ことを勧め、生きる拠り所を見出すよう励ましている。 (関連記事: 「芭蕉の芽」が日本国際漫画賞銀賞を受賞 文化部が台湾漫画家・左萱氏を称賛 関連記事をもっと読む

美しい国は永遠に美しくない―両岸の協力こそが災難を乗り越える道

映像の中で許倬雲氏は、特に幼年期に経験した戰争の残虐性について振り返った。「5、6歳の子供が生死を知るはずもない...私たちが防空壕から出てきた時、道で人が木に引っ掛かり、地面にも横たわっていた。母親はすでに亡くなっているのに、赤ん坊がその上で乳を飲んでいた。このような光景を、普通の人は成長過程で見ることがあるだろうか?」