アメリカ上院軍事委員会は最近、2026年度国防授権法案(NDAA)を承認し、台湾の環太平洋軍事演習(RIMPAC)参加について、これまでの「提案」から「強い推奨」に格上げする方針を明確にした。法案では、国防長官が台湾海軍を招待しない場合、議会に理由を通知するよう求めており、台湾との軍事協力をより積極的に進める姿勢を示している。
台湾関連で示された5つの具体的協力計画
今回の法案には、台湾との協力を強化するための具体的な内容が盛り込まれている:
- RIMPACへの台湾参加を強く推奨し、招待しない場合は理由を議会に説明すること。
- 国防部と台湾が共同でドローンや対ドローン能力を開発し、防衛技術を向上させること。
- 台湾の重要デジタル基盤を評価し、強化案を提示することでサイバー防護を強化すること。
- 台湾安全協力イニシアティブとして10億ドルを許可し、戦闘傷病救護や医療設備に活用すること。
- 国防部、国務院、アメリカ在台協会が連携し、台湾関連組織の契約手続きを発展させること。
アメリカ国防授権法案の立法プロセスと意義とは?
プロセス段階 | 内容説明 |
---|---|
委員会審査 | 上院軍事委員会が法案を承認し、台湾関連条項を含む |
本会議採決 | 法案を上院全体で採決し、通過後に下院版と協議 |
両院協議 | 上院と下院が各自の版を調整し、合意に達する |
大統領署名 | 最終法案をホワイトハウスに送り、大統領が署名して施行 |
法案の意義 | 毎年の軍費と政策権限を決定し、アメリカ軍と国防の優先事項を確保 |
RIMPAC参加の戦略的価値と今後の展望
RIMPACは米海軍主導で2年ごとに行われる世界最大級の国際海上演習であり、参加国は相互訓練を通じて協力体制を強化し、海上交通の安全を確保することを目的としている。台湾が参加できれば、国際的な認知度が高まり、同盟国との協調作戦能力も向上。地域安全保障でより積極的な役割を果たせると期待されている。
また、法案が推進する「台湾安全協力イニシアティブ」により、米台は今後、共同訓練や先端防衛技術での協力、デジタル・サイバー防護の強化、医療・戦時救護資源の拡大、産業チェーンの連携促進を進めていく見通しだ。
台湾条項が持つ意義
国防授権法案(NDAA)は毎年通過する米国の重要法案で、国防予算だけでなく対外軍事政策の方向性を示す指標でもある。今回、台湾関連条項が「提案」から「強い推奨」に引き上げられたことは、米議会が台湾の安全保障を重視している証左だ。台米の軍事協力はさらに強化され、国際的な安全ネットワークにおける台湾の位置づけも高まるとみられる。地域情勢の変化とともに、台米の連携は今後も拡大を続け、アジア太平洋地域の安定に深い影響を及ぼすだろう。
世界を、台湾から読む⇒風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp (関連記事: 「軍なきNATO加盟国」アイスランドに転機 ロシアの脅威とトランプ氏の圧力で防衛見直しへ | 関連記事をもっと読む )