「7月5日に日本で大災難が起こる」との予言がSNSなどで拡散し、一部で話題となっていたが、当日は大きな災害は発生せず、杞憂に終わった。この予言を逆手に取る形で、香港の格安航空会社「グレーター・ベイ航空」は、該当の漫画タイトルにちなみ「私が見た最低価格」キャンペーンを開始。日本行きの格安航空券を販売し、かつて“予言”を気にして旅行を控えていた人々に向けて日本観光を呼びかけている。
「予言」で香港の訪日需要が一時減少 グレーター・ベイ航空は日本線の一部減便へ
この「予言」は、日本出身の漫画家・たつき諒氏による『私が見た未来 完全版』に由来するもので、作中には「7月5日に日本南部で津波を伴う大災害が発生する」という夢の内容が描かれていた。この話題は香港でも広まり、さらに一部の風水師が「日本で地震が起こる」と予言したことで、香港からの訪日旅行者が一時的に減少。グレーター・ベイ航空も2025年4月に、5月13日から10月25日まで仙台便を週4便から3便、徳島便を週3便から2便に減便し、米子便は運休すると発表していた。
結果的に災害は起こらず 「デマ終結の日」に合わせたPRが話題に
しかし、迎えた7月5日、鹿児島県十島村で震度5強の地震は観測されたものの、海底火山の噴火や津波といった大災害は発生しなかった。これを受け、再び訪日需要が高まりつつある中、グレーター・ベイ航空は「私が見た最低価格」と題した日本行き航空券キャンペーンを展開。成田・関西・仙台各空港行きのチケットを約350香港ドル(約6500円、約1300台湾ドル)で販売している。
プロモーションポスターには、漫画のカバーに登場する女性キャラクターと同じポーズ(片目を手で隠す)を取ったグレーター・ベイ航空のマスコットキャラが登場。ユーモアを交えたPR展開が注目を集めている。
同社のInstagramでは「予言観察隊」と名乗る4人組が7月5日に大阪の街を訪れ、「異常なし」と報告する動画も公開された。また、香港の大手旅行代理店各社もこの日を「デマ終結の日」と位置付け、超低価格の日本旅行パッケージを販売する動きが広がっている。
作者は「日付に意味はない」と説明 新作で心境も語る
話題の漫画『私が見た未来 完全版』では、「日本とフィリピンの間の海底が破裂し、大災害が起こる」との夢の内容と共に、「もしこの夢を見た日が実現の日だとすれば、次の災難は2025年7月5日になる」との後書きが記されている。
ただし、作者のたつき諒氏は2025年6月に発表した新作『天使の遺言』の序文にて、「完全版」は出版社の主導で出版されたものであり、「一部は自分の意図ではなかった」と明かしている。さらに「夢を見た日がそのまま起こる日とは限らない」とも述べ、特定の日付に意味を持たせる意図はなかったことを強調している。
編集:梅木奈実 (関連記事: 鹿児島・トカラ列島で地震1000回超 7月5日大地震説に現実味?専門家「M7級の確率7割」 | 関連記事をもっと読む )
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