米国の関税嵐が世界を席巻する中、台湾はいかに将来の経済および地政学的展開に対処するのかが問われている。米国との交渉について、頼清徳総統は「すでに第1回目を行い、今後も継続する」と宣言し、政府は三つの原則を堅持すると述べた。第一に国家利益を確保すること、第二に台湾産業の発展の余地を維持すること、第三にいかなる産業も犠牲にしないこと。卓栄泰行政院長は影響を受ける産業への支援計画を発表し、当初の880億元の予算案は業界の意見を取り入れて930億元に調整された。
指摘によれば、米国の関税戦争免除期間が残り2か月となり、時間が迫る中、台湾は国内では企業の自信を安定させ、対米では、台湾企業の米国投資サービスセンター設立、天然ガス購入、武器購入などの購買・投資拡大のみでは米国にとって小さな数字に過ぎないため、卓栄泰行政院長は関税交渉の切り札強化を検討している。それは何か。

米国関税交渉の切り札強化 卓栄泰が政府系ファンドを積極検討
国民党の羅明才立法委員は4月25日の質疑で「政府系ファンドは企業の国際進出を後押しできるが、設立を考えているか」と質問。卓院長は「中央銀行と議論したが、提案はまだ出ていない」と答えた。4日後、国民党の李彦秀立法委員の同様の質問に、卓院長の態度は「議論中」から「積極推進」に変わり、「国家経済、財政、ハイテク産業の発展状況を踏まえれば政府が再考すべきだ」と述べ、中央銀行総裁とも非公式に協議済みで、中央銀行、国家発展委員会、財政関連部門と特別プロジェクトとして報告書をまとめ、積極的な方向で進める意向を示した。
いわゆる「政府系ファンド」とは、国家や連邦政府部門が保有するファンドで、株式、債券、不動産、その他の金融商品で構成され、長期的な財務増加を目的とする。「サンディエゴ原則」を順守し、世界金融安定の維持、資金と投資の自由な流れの確保、投資国の規制・開示要件遵守、市場の公正性確保、経済・金融リスクに基づく投資、政治目的の排除、透明で健全なガバナンス構築といった要件が求められる。卓院長の積極姿勢への転換の鍵は何か。
台湾の発言力強化 ただし国内金融・財政の安定に注意
千億元規模の政府系ファンドを交渉カードにすれば、トランプ米大統領に対抗する自信につながる。また、政府系ファンドにより国内産業は米国顧客の受託生産を担うだけでなく、投資家・株主にもなり、商業情報や動向を把握しやすくなり、台湾の発言力が強化され、世界情勢の理解も深まる。 (関連記事: 日本、米国債という「最強カード」は使わず 加藤財務相「交渉材料にはしない」と明言 | 関連記事をもっと読む )
政府系ファンドはこれまでも議論されてきたが、資金の出所について意見が分かれる。多くは外貨準備からの拠出や国債発行を提案するが、野党は国内金融・財政の安定への影響を懸念する。さらに政府管理下では透明性が疑問視され、「政府の小金庫化」への懸念が最大の課題とされる。だが今回のトランプ関税問題では与野党が珍しく一致し、政府系ファンド設立を重要な交渉カードと認識している。