台湾の株式・為替市場が好調に推移し、特にニュー台湾ドル(NTD)の対米ドル為替レートが急騰している。中央銀行が「米国からのニュー台湾ドル高要請はない」と強調しているにもかかわらず、海外からの投資資金が流入し、ニュー台湾ドル(NTD)は珍しく大きな動きを見せた。今(2日)午後には31元台を突破し「30元台」に突入、2024年1月以来の高値を記録、1日で1元以上、3%を超える上昇幅を記録した。
トランプ米大統領の関税政策や米連邦準備理事会(Fed)の独立性への懸念が市場を揺さぶり、ドルへの信頼が低下。アジア通貨は一斉に上昇し、ニュー台湾ドル(NTD)は特に急騰した。先週の終値は32.526元だったが、わずか1週間で31元を突破し、投資家を驚かせた。台湾積体電路製造(TSMC)、メディアテック(MediaTek)などの最新業績説明会では、1ドル=32.5ニュー台湾ドルを前提に第2四半期の見通しを示していた。
ニュー台湾ドル(NTD)は今日(2日)午前中にまず32元を突破、その後31.14元まで急騰した。正午の取引終了時点では31.394元で、6.23角の上昇、取引量は14.92億ドルという異例の規模となった。
市場では、中央銀行がついに動き、31元の防衛ラインを守るとの見方が広がった。しかし午後にはさらに勢いを増し、一時は30元台に突入。記者が記事を執筆している時点ではやや反落している。

中央銀行の介入は必至、ただし市場の流れに逆らうのは困難
市場関係者によると、連邦準備制度の利下げ期待が続き、ドル資産の分散需要が高まる中、台湾株が急騰し、海外資金の流入が止まらず、為替市場は「人踏み合う」状態に。
為替取引の専門家は、「海湖荘園協定」で噂される13.3元の水準はあり得ないものの、現状の勢いではさらにニュー台湾ドル(NTD)高が進み、20元台に突入する可能性もあると分析。輸出業者や生命保険業界は深刻な為替損失に直面する恐れがある。中央銀行が介入しても、市場の流れに逆らうのは難しく、タイミングを見極めた精密な介入が求められるという。
中央銀行「米国はニュー台湾ドル(NTD)高を要求していない」と強調
中央銀行は昨日(1日)、声明を発表し、最近の一部報道で「米国がニュー台湾ドル(NTD)高を要請した」と伝えられている件について、具体的な為替水準が取り沙汰されているのは事実と異なるとし、次の5点を説明した。
一、4月9日以降、米国は日本、韓国などと貿易協議を実施。報道では「海湖荘園協定」が取り上げられ、米国が主要貿易相手国と関税協議の際、通貨高を求めた可能性があると推測されている。
二、最近、米財務長官イエレン氏と日本の加藤勝信財務相が為替問題を協議したが、米側は具体的な為替目標に言及せず、G7の合意を尊重し、競争的な通貨安誘導を行わないよう求めたという。日本側も、米側が為替目標水準を議題にしなかったこと、為替は市場が決定すべきであり、過度な変動は経済に悪影響を与えると双方が確認したと強調した。
三、2021年以降、米財務省の為替政策報告書では、主要貿易相手国が競争的な通貨安誘導を行い不公正な競争優位を得ているとの認定はされておらず、いずれの国も為替操作国には認定されていない。
四、米財務省はニュー台湾ドル(NTD)高を要求していない。国内メディアの「米国がニュー台湾ドル(NTD)高を要求」という報道は事実に反する。中央銀行と米財務省の間のコミュニケーションは円滑であり、今後もマクロ経済や為替政策に関して良好な対話を続ける。
五、長年にわたり、ニュー台湾ドル(NTD)の対ドル為替レートは他の主要通貨に比べ安定しており、中央銀行は今後もニュー台湾ドル(NTD)の動的安定を維持し、国際金融市場の動向を注視する。
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編集:梅木奈実
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