新台湾ドル急騰、中銀総裁「為替市場にハゲタカ出現」 異常変動に介入と表明

20250505-中央銀行総裁楊金龍氏は5日に記者会見を開き、国内為替市場に関する事項を説明。(柯承惠撮影)
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台湾の中央銀行総裁、楊金龍氏は5日午後、臨時記者会見を開き、最近の新台湾ドル対米ドル為替レートの急騰に関し「個人的にはすでに過度な変動と考えており、異常な動きはここで終わってほしい」と述べた。また、近頃「ハゲタカ」のような存在を確認したことを初めて明かし、「中央銀行はすでに警告を発し、最終的には退出したが、行動は遅かった」と語った。

楊氏は会見で、為替関連の問題について7つの声明を発表し、アメリカ側から新台湾ドル高を求められた事実はないことを改めて強調。最近の激しい変動は主に市場の期待心理によるものだと説明した。

過度な変動と認識、中央銀行が市場介入

新台湾ドルが連続で急騰したことについて、過度な上昇ではないかという質問に対し、楊氏は「原則として為替は市場の需給で決まるが、非規則な要因で為替が秩序を失い、経済・金融の安定を脅かす場合、中央銀行は市場秩序を維持する責務を負う。今回は実際に市場調整に入った」とし、「個人的には過度な変動だと考えており、好ましくない」と語った

また市場のコメンテーターに対しては「株式市場に影響を与える虚偽の噂の流布には罰則がある。外国為替市場には罰則はないが、推測に基づくコメントは控えてほしい」と呼びかけ、企業にも過度に誇張された分析に惑わされず、非合理的な期待からの外貨売却を避けるよう求めた。

「プラザ合意」再来を懸念する声には、「現在は当時とは状況が大きく異なる。為替市場の深さや広さは比較にならない。資金移動の頻度も低い。1985年とはまったく違う。アメリカも協調介入が通用しないと理解しており、今回は関税政策のみを打ち出した」と述べた。

資金の投機を警戒 「ハゲタカ」に中央銀行が警告

楊氏はまた「1992年の英国や1998年の香港が国際金融市場のハゲタカに攻撃された歴史を思い出す。まさにその表現がぴったりだ」と述べ、「中央銀行は常に監視しており、この数日の異常な動きがここで終わることを望む」と語った。

最近の新台湾ドル急騰については、「ハゲタカ」のような資金の存在を確認したことを認め、規模も相当大きかったと説明。中央銀行はすでに資金流入の目的説明を求め、駐留(parking)を認めないと警告し、その後徐々に撤退したという。

輸出業者の外貨売却が主因

『フィナンシャル・タイムズ』は、新台湾ドル高の背景に保険業者が米ドル建てポジションのヘッジを急いだことがあると分析しているが、楊氏は「市場で見た限りそうではない。実際に新台湾ドル高を促進したのは輸出業者だ。しかも中大型企業だけでなく、小規模輸出業者の売却圧力も強まっている」とし、最近の株式市場の好調も外資流入を招いていると指摘した。

中央銀行は市場トレンドの逆転を試みない

楊氏は「中央銀行は市場のトレンドを無理に逆転させることはない。過度な減価や増価の際に調整は行うが、減価時に無理に増価させ、増価時に無理に減価させることは不可能だ」と強調。今回は市場の期待心理が特に強かったため、臨時記者会見を開き、改めて噂を否定し、市場の安定を呼びかけたと説明した。 (関連記事: 関税戦争が終わらず、通貨戦争が始まり:台湾は日本の「失われた30年」を辿るのか? 関連記事をもっと読む

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編集:梅木奈実

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