独占インタビュー》「日本防衛は台湾防衛そのもの」――元陸自将軍が語る、中国抑止のカギと“ワンシアター”構想の全貌

アメリカ国防長官のヘグセス(左)と日本防衛大臣の中谷元が3月末に会談し記念撮影を行う。中谷元は「ワンシアター(一つの戦域)」構想を提唱。(国防長官ピート・ヘグセス Xより)

中国が東シナ海・南シナ海で軍事的存在感を拡大し、北朝鮮が頻繁にミサイルを発射する中、日本の国家安全保障戦略へのプレッシャーは日に日に増している。陸上自衛隊の元陸将、小川清史氏は『風傳媒』の独占インタビューに応じ、防衛は単なる軍事問題ではなく、地域秩序の構築という観点から再定義すべきだと語った。

現在、小川氏は日本安全保障戦略研究所の上席研究員を務めている。彼は中谷元防衛相が3月30日、米国のヘグセス国防長官(Pete Hegseth)との会談で初めて提案した「One Theater(一つの戦域)」構想に賛同し、共同防衛態勢の強化を主張。「日本の防衛は台湾の防衛そのものだ」と断言し、抑止力を確立して北京の指導者が勝算なしと判断せざるを得ない状況をつくることこそが東アジアの平和安定の鍵だと強調した。

以下は小川氏が『風傳媒』のインタビューに対して語った、日本の防衛政策および日台関係に関する5つの主要な質問の詳細な分析である。

質問1:中国による東シナ海・南シナ海での軍事的拡張、北朝鮮による頻繁なミサイル発射。二重の脅威に直面する中で、日本が防衛政策全体で最も優先すべきことは何か?または調整すべき課題は何か。

小川氏は率直に、「北朝鮮のミサイル発射は主に米国への圧力を目的としており、日本占領を意図したものではないが、日本は依然としてミサイル防衛システムを通じて国民の安全を確保する必要がある」と指摘する。一方で、中国の東シナ海および南シナ海での軍事拡張こそが、より警戒を要する焦点だと強調した。

日本は中国、ロシア、北朝鮮という三つの潜在的な軍事的対立国に同時に向き合っており、これは韓国、台湾、さらにはフィリピンとも異なる戦略的状況に置かれている。このことは、日本が地域において秩序維持の重要な役割を担っていることを意味している。そのため、日本は防衛を単なる軍事問題としてではなく、「安全保障」という観点から再定義し、地域秩序の枠組みをいかに主導するかを考えるべきだとし、「一つの戦域(One Theater)」構想を打ち出すことで責任ある大国としての戦略的姿勢を示す必要があると語った。 (関連記事: 日本の元陸将・小川清史氏、台湾で講演へ 「ワンシアター(一つの戦域)」で日米台連携に注目 関連記事をもっと読む

中谷防衛相がヘグセス米国防長官との会談で、中国への対抗を念頭に、東シナ海や南シナ海、朝鮮半島を中心とした地域を一体の「戦域」としてとらえ、日米が同志国とともに防衛協力を強化する「ワンシアター(一つの戦域)」構想を伝えていたことがわかりました。https://t.co/XgUmqCSYJl

— 朝日新聞霞クラブ(外務省・防衛省担当) (@asahi_gaikou)April 15, 2025
5月7日、日本陸上自衛隊退役将領小川清史演説解析「単一戦区」構想。(小川清史提供)
日本防衛大臣中谷元が提出「ワンシアター(一つの戦域)」構想。(小川清史提供)

防衛政策の核心は、安定した「抑止力」を構築し、潜在的な敵対国がたとえ政治指導者から攻撃命令を受けても、実際の軍事行動で勝利目標を達成できない状況を作り出すことにある。これはロシア・ウクライナ戦争が提供した重要な教訓であり、ロシア軍は侵攻命令を受けながらも、プーチン大統領のウクライナ侵攻の戦略的目標を達成できなかった。