アメリカのトランプ大統領が発動した関税戦争により、米中貿易交渉は「重大な転換点」を迎えた。米中両政府は同時に、アメリカのベッセント財務長官と中国の何立峰副首相が5月10~11日にスイスで貿易協議を行うと発表した。中国の学者らは分析し、中国はこれまでトランプ氏の貿易戦争を「断固反対」してきたが、「問題は最終的に解決しなければならない」と指摘。ただし、米中交渉は重要である一方、早期の成果は期待できず、「首脳会談」がカギを握るとの見方を示した。
香港の『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は7日、中国人民大学国際関係学院の時殷弘教授の話として、今回の声明は中国の立場における「重大な変化」を示すと報じた。つまり、中国製品に課されている高関税の撤廃が「もはや米中貿易交渉の前提条件ではなくなった」という。時氏は「米中経済関係は3か月間の混乱を経て、ようやく緩和の兆しが見え始めたが、経済協定が成立するかどうかは依然不透明だ」と述べた。
南京大学国際関係学院の朱鋒院長は、今回の会談が「貿易戦争がどれだけ続こうとも、接触と対話は避けられない選択肢である」という前向きなメッセージを発していると評価。朱氏はまた、中国はこれまで「トランプ氏の貿易戦争に断固反対」してきたが、「問題は最終的に解決しなければならない」と強調した上で、スイスでの対話が両国を「実質的な協議の軌道」に乗せると述べた。
ただし朱氏は、アメリカが日本、インド、韓国、カナダと行ってきた貿易交渉がこれまで「実質的な成果」を上げていないことを指摘し、「米中対話がすぐに成果を生むとは信じられない」との見方を示した。
さらに朱氏は、中国の何副首相とアメリカのベッセント財務長官の会談が米中間のハイレベル対話を再開するうえで前向きな影響を与えるとしながらも、「両国首脳間の直接的な対話と意思疎通は依然として代替不可能だ」と語った。朱氏はまた、世界の二大経済大国間の対話が「世界経済の安定」にとっても重要な役割を果たすと述べた。
編集:梅木奈実 (関連記事: トランプ氏「米国と取引できず中国経済は今ひどい」 中国側と「適切な時期に会談」 | 関連記事をもっと読む )
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