アフガニスタン東部で発生したマグニチュード6.0の強い地震により、同国は甚大な被害に見舞われている。国際的に孤立する状況の中、救援活動は困難を極め、死傷者数は急速に拡大している。タリバン政権はついに国際社会に支援を呼びかけざるを得ない状況となった。
死者1411人超、瓦礫の下に多数が閉じ込め
タリバン政権の報道官ザビフラ・ムジャヒド(Zabihullah Mujahid)氏は2日夜、SNSを通じて最新情報を発表。これまでに少なくとも1411人が死亡、3124人が負傷し、5400棟以上の住宅が倒壊したと明らかにした。アフガニスタン赤新月社(Afghan Red Crescent Society)も「現在も多くの人々が瓦礫の下に取り残されている」と警告している。
Mawlawi Zabihullah Mujahid, spokesman for the Islamic Emirate, announced that so far 1,411 people have lost their lives, 3,124 have been injured, and 5,412 houses have been destroyed in the districts of Nur Gal, Sawki, Chapa Dara, Pech Dara, Watapur, and Asadabad of Kunar…pic.twitter.com/zqEdEAxCDo
— RTA English (@rtaenglish1)September 2, 2025
脆弱な住宅構造が被害拡大の要因に
国連アフガニスタン調整官のインディリカ・ラトワッテ(Indrika Ratwatte)氏は「今回の地震は複数の州に影響を及ぼし、広範囲に被害をもたらした」と述べた。長年にわたる経済停滞により、同国の多くの住宅は泥レンガや木材で建てられており、激しい揺れに耐えられず倒壊。逃げ遅れた住民が多数瓦礫に埋もれる事態となった。
救援を阻むインフラ不足と険しい地形
現地の救援隊は時間との闘いを強いられているが、長年の内戦で国内インフラは壊滅的に不足している。加えて、山岳地帯特有の険しい地形が救援活動や物資輸送を大きく妨げている。このまま国際的な支援が届かなければ、死傷者はさらに増加する恐れが高い。



アフガニスタンで発生したマグニチュード6.0の地震は、2021年にタリバンが再び政権を掌握して以来、3度目となる大規模地震となった。今回の災害は、同国が抱える隠れた危機を改めて浮き彫りにしている。
国際社会から孤立するタリバン政権
女性や人権をめぐる深刻な状況により、タリバン政権は国際社会の大多数から正統性を認められていない。その結果、国際援助は大幅に縮小し、経済は極度に疲弊。さらに、数百万人のアフガン人がイランやパキスタンから強制送還され、国内に戻らざるを得ない状況に追い込まれている。
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国連「公衆衛生施設420カ所以上が閉鎖」
国連人道問題調整事務所(OCHA)の駐アフガニスタン副責任者ケイト・ケアリー氏は、国際資金の大幅な減少が国内の医療体制に深刻な影響を及ぼしていると指摘。米国や国連の支援縮小により、アフガニスタン国内の420以上の公衆衛生施設が閉鎖または休止を余儀なくされており、そのうち約80施設は今回の震源地に近い東部地域に集中しているという。