台湾の賴清徳総統は9月1日、国際情勢や灰色地帯での挑戦、さらには外国勢力の浸透に対応するため、国家安全会議(国安会)および総統府の人事刷新を発表した。人事は同日付で発効する。
国安会に新たな諮問委員
賴氏は、国安会副秘書長を務めていた徐斯儉氏と劉得金氏を新たに国安会諮問委員に任命した。
徐氏は外交部政務次長や台湾民主基金会執行長、中研院政治学研究所副研究員を歴任し、外交や両岸政治の分野で豊富な学術・実務経験を持つ。劉氏は国防部総督察長、陸軍副司令、陸軍第八軍団司令官などを歴任し、国際軍事協力や国防戦略分析に精通している。蔡英文前政権および賴政権下で国安事務において大きな成果を挙げた点も高く評価されている。
新任の国安会副秘書長
国安会副秘書長には、台北市議員の趙怡翔氏と総統府報道官の李問氏が就任する。
趙氏はカナダ・ヨーク大学で政治学を専攻後、英国ロンドン大学バーベック校で国際経済法修士号を取得。民進党国際事務部主任やCSIS(米戦略国際問題研究所)の研究員、駐美代表処政治組組長を歴任し、長年にわたり外交・国際政治の実務に携わってきた。
李氏は台湾大学人類学系を卒業し、米シカゴ大学で社会科学修士号を取得。民進党国際事務部主任や連江県党部主任委員、中央党部報道官、中国事務部副主任などを歴任。国安会や遠景基金会でも活動し、安全保障戦略や国際コミュニケーション分野に精通している。
総統府の人事強化
さらに総統府では、鄭俊昇氏が副秘書長に任命された。鄭氏は民進党中央党部の民調センター主任や蔡英文前総統の秘書を務め、世論調査に基づく政策立案に長けている。郭雅慧報道官によれば、賴総統は鄭氏の専門性を生かし、国政運営における民意の把握と社会ニーズへの対応力を高めたい考えだという。
賴総統の狙い
郭報道官は「賴総統は、外交・国防分野での経験豊富な諮問委員2名と、専門性と革新性を兼ね備えた新任副秘書長2名の力を結集し、国安チームの体制をさらに強化する」と強調。今後も重点的な安全保障任務を確実に推進していく方針を示した。
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編集:梅木奈実
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