トップ ニュース 呉典蓉コラム:台湾・国民党の選挙が混迷するのは盧秀燕台中市長のせいか?
呉典蓉コラム:台湾・国民党の選挙が混迷するのは盧秀燕台中市長のせいか? 台中市長の盧秀燕氏が国民党党主席選挙への立候補を放棄し、今は党内の激しい争いを見るばかりである。写真は盧秀燕氏が国民党凱道「同意しない解任」選挙前夜に参加した際の様子。(写真/陳品佑撮影)
本来は形式的で少し退屈で、そのはずだった台湾の国民党主席選が、「我々に明日はない」と言わんばかりの激突に化けたのは意外だった。とりわけ驚かされたのは、これまで緑陣営(民進党)の「紅い レッテル貼り」(親中派と決めつける攻撃)に晒される側だった国民党で、戦闘藍(国民党強硬派)の司令塔・趙少康氏が突如「境外勢力」(海外勢力の介入を示唆する台湾の政治用語)カードを切り、ついには国安局まで主席選に「関与」させる展開を招いたことだ。国民党を中国共産党の「協力者」的存在と位置づける――それは民進党が長年追い求め、大規模リコールでも果たせなかったゴールだったが、趙氏は一足飛びにそこへ到達してしまった。
一軍は出ず、二軍が暴れる? 今回の出馬者たちは、2028年の総統選に出ないと誓約している。いわば「代理戦」にすぎないのに、なぜここまでゼロサム化したのか。振り返れば、党内の「一軍」大物が国民党という組織の力を見誤っていた面は否めない。最有力視された盧秀燕氏が最終的に不出馬を選んだ背景の一つには、財政・人員ともに脆弱(多数の組織が連署訴訟で起訴)のまま、32対0という「リコール完勝」を達成した事実がある。「国民党の組織力は大選の勝敗を左右しないのでは」という誤解が生まれても不思議ではない。しかし現実には、国民党の組織はなお強靭で、同時に“悪用”され得ることも過小評価すべきではなかった。神殿(組織)は小さくないが、内紛には妙に手慣れている――一軍が二軍を放置したツケが、今の収拾不能を招いている。
民進党にとって国民党は、過去の歴史や正義を踏みにじった象徴だ。1980~90年代の権威主義からの転換期に、多くの権威主義政党が瓦解・再編されたなか、下野後に再び政権を奪回できた例は多くない。にもかかわらず国民党は、いまなお全22県市のうち6割超を握る“地方与党”の顔を持つ。国際社会が反中ムードを強める中でも、台湾の選挙で公然と「中国」の名を冠し、緑陣営から“紅い烙印”を押され続けながら、最大野党の座を保ち続ける。そんな“奇妙な”政党である。版図は縮み、南北格差も拡大したが、それでも半分の地盤を守り切っているのが現状だ。
国民党が生き延びるほんとうの理由 国民党はなぜ残っているのか。盧秀燕氏の最初の見立ては、実は的確だったのかもしれない。国民党が“正しいこと”をやったからではない。理由は別にある。
陳水扁政権発足以降、民進党の大目標は「恒久的な多数」だ。そのためには国民党を「歴史のごみ箱」へ。いわゆる“紅いレッテル貼り”、地方選での徹底抗戦、党資産処分、メディア戦(中天の停波や三立・民視への補助)、サテライト系のネット動員、そして今年は司法での追撃まで。なかでも“大規模リコール”は国民党の正統性を根底から否定する最強手段だった。にもかかわらず国民党がなお存続しているのは、そのリコールの投票結果ゆえでもある。多くの藍系立法委員の反対票が本選の得票を上回る例すら出た。つまり有権者の一部は「国民党だから」ではなく、民進党がリコールを梃子に“一党支配”へ近づくのを拒んだ、ということだ。
機能主義の言葉を借りれば、国民党は台湾政治で“機能”している。英政治学者デイヴィッド・ランシマンがシュンペーター理論を解説した際に示した「最低限民主主義」――現与党が選挙で敗れたとき、第二党が政権を引き継げる状態を保つこと――この観点では「第二政党としての国民党」は不可欠だ。激戦区の台中市で盧秀燕氏が高得票で再選した背景にも、民進党への嫌悪と、選択肢として国民党が存在することが、有権者の“自由度”を担保した側面がある。これが、国民党が他の権威主義由来の政党と違い、歴史から消えなかった大きな理由だ。民主を保つには監視役が必要――国民党は、まさにその役割を負っている。
もちろん国民党は「永遠の第二党」でいるつもりはない。むしろ長期的な政権交代なしに基本的民主を維持した稀有な例は日本くらいだが、その日本でも派閥配分や腐敗は避けがたい。換言すれば、定期的な交代は民主の必要条件。今回の主席選が注目されるのは、国民党が監督役を超え、与党として“任に堪えるか”を有権者に試されているからだ。だが今の出来はお粗末だ。2016年と2020年の敗因は対中(両岸)政策にあり、ここは復帰へ向け避けて通れない。トランプ大統領が台湾に圧力を強める局面では、米中に対しバランスの取れた方策を示すべきだった。郝龍斌氏が掲げる「和中不舔・親米不跪・友日不媚」は党内合意に至っていないにせよ、「台湾は独立しない・中国は武力不行使」および“一中”( 一つの中国) の枠内での中華民国承認――このラインなら台湾有権者が飲み得る最低限だ。どんな“両岸コンセンサス”も選挙を通過できなければ、国民党は政権に返り咲けない。
賴清徳氏もわかっている 「境外勢力」では片づけられない 残念なことに、郝龍斌氏が両岸案を示す一方、その支援に回った趙少康氏が「境外勢力」介入を唱えたことだ。その根拠は「毎日数百のTikTokアカウントが鄭麗文氏を支持」というもの。しかし、TikTokの全体トラフィックから見れば微々たるもので、“勢力”と呼ぶには無理がある。趙氏自身のFacebookコメント欄も罵倒で溢れている。もしそれらをすべて“境外”と断ずるなら、賴清徳総統のページに満ちる「下台」「賴皇」コールも同じはずだ。実際には、この10年の台湾政治に常態化したネット現象で、ポピュリズムと過激化を助長し、理性を蝕む――だが土着の現象であって、中共の介入とは限らない。中共の浸透を最も激しく糾弾してきた賴清徳氏ですら、これらを“一律に境外勢力”とは見なしていない。趙氏よりネットを理解している、ということだろう。
それでも、趙氏の軽率な「紅いレッテル貼り」は波及する。対立候補だけでなく、国民党自身、さらには台湾全体も傷つける。第二野党が与党を監視すべき立場なのに、その口から“民進党流の認知戦”を追認する言説が出れば、「中共の浸透は始まっており、その震源は国民党」との物語に力を与えてしまう。結果、民進党の“紅抹”に理屈と正当性を与えた――自己破壊に近い。これで有権者が“民進党のレッテル貼り”に抗する余地は狭まった。盧秀燕氏は、出馬を見送ったことを悔やむ日が来るかもしれない。
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