格言が単なるプロパガンダ(宣伝)に堕した時、それは危険な兆候だ。
米国在台協会(AIT)のレイモンド・グリーン所長は先日の演説で、「自由はタダではない(Freedom isn't Free)」という有名な言葉を引用した。もし彼が、人々が自由のためにあらゆる犠牲を払う覚悟を説いたのであれば、それは確かに気高い精神である。
しかし、もしこの言葉が、1.25兆台湾ドル(約5.8兆円)にも上る巨額の国防特別予算という「白紙の小切手」を通過させるための口実として使われたのであれば、それは安っぽい宣伝であるばかりか、台湾の民主主義と自由を傷つける行為に他ならない。頼清徳政権が、国内の政治対争に米国が公然と介入することを歓迎している姿は、現政権の無能さと怠慢を映し出しているに過ぎない。
自由は無料ではないが、台湾の「支払い」は逆効果を生んでいる
グリーン所長の発言に続き、頼清徳総統もまた「自由はタダではない」という言葉を繰り返し引用し、野党に対して国防予算案への支持を迫っている。
確かに自由は無料ではない。だが、自由の価値を金銭で測ることができるだろうか? 自由と等価交換できるのは、勇気と犠牲の決心だけであるはずだ。あえて金銭的価値に換算するなら、一体いくら払えば台湾の自由は買えるのか。
台湾は関税交渉において、5,000億米ドルの対米投資を約束した。ハワード・ルトニック米商務長官はこれを「台湾による米国投資の頭金」だと嬉々として捉えた。しかし、ルトニック氏は同時のインタビューで、「米国は4,000マイルも離れた台湾で製造されるハイテク半導体を守ることはできない」と正直に告白している。
この発言は残酷な真実を証明している。台湾は巨額の「代金」を支払ったにもかかわらず、その見返りは「米国は台湾防衛を約束しない」という結果だったのだ。つまり、「自由はタダではない」というが、台湾の支払いはむしろ逆効果を招いている可能性がある。
「シリコンの盾」の流出と米国の分断統治
トランプ政権による世界的な関税戦争において、米国が必ずしも利益を得ているとは限らないが、確実なのは「TSMC(台湾積体電路製造)が大挙して米国へ投資する」という事実だ。半導体の王者であるTSMCが米国に拠点を置くこと自体は理解できる。しかし、台湾の安全保障上の切り札であった「シリコンの盾」が流出しても、米国の安全保障確約は得られず、逆に米高官から「自由はタダではない」と上から目線で説教される始末だ。
これは、台湾の関税交渉が大敗北とは言わないまでも、圧倒的弱者の立場にあることを証明している。トランプ政権の「ビジネスと軍事を切り離す(分断統治)」戦略により、シリコンの盾はもはや重要な交渉カードではなくなりつつある。
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シリコンの盾の大部分が米国へ移転したその日、米国にとって台湾を防衛する圧力は消滅する。「台湾人は自らの防衛任務を負うべきだ」というのが、今回の武器売却の真の意味である。しかし、台湾側は金を払った後、その武器の内容や納期、引き渡し方法について口を挟む権利を持っているだろうか? 頼政権には価格交渉をする能力も意思もなく、すべては米国の言い値で決まっているのが現状だ。

















































