沖縄県・石垣島の漁師、仲間均氏(76)は長年、尖閣諸島(台湾名:釣魚台)周辺海域での漁を続け、実効支配の守護者として活動してきた。中国海警局の船に取り囲まれながらも操業を続ける彼の行動は、これまで日本政府によって黙認されてきた。しかし、2025年末からその風向きが変わり始めた。政府当局が中国を刺激し、日中間の緊張をさらに激化させることを避けるため、当該海域への出漁を控えるよう水面下で「指導」し始めたという。
ロイター通信によると、日本政府は長年、尖閣諸島での主権を誇示し、実効支配を強化する手段として、自国漁民の活動を事実上黙認してきた。しかし、2025年10月に就任した高市早苗首相が対中強硬姿勢を打ち出し、「台湾有事」に関する踏み込んだ発言を行ったことで、中国側が強く反発。両国関係は氷点下まで冷え込んでいる。
Some Japanese officials have been discreetly urging fisherman and local politician Hitoshi Nakama, and his peers, to steer clear of the remote island outcrops known as Senkaku in Japan and Diaoyu in China to avoid escalating a diplomatic clash with Beijinghttps://t.co/YgAol0XjEgpic.twitter.com/jsf23KhOLV
— Reuters (@Reuters)January 27, 2026
方針転換:黙認から「自粛要請」へのジレンマ
石垣市の中山義隆市長は、漁民が強行して出漁した場合、中国当局による拿捕や強制立ち入り検査のリスクがあり、収拾のつかない国際問題に発展しかねないと懸念を示す。「日本政府は今、これ以上の衝突拡大を避けたいと考えている」と吐露した。
この外交的な駆け引きの背景には、米国の影も見え隠れする。情報筋がロイターに語ったところによると、ドナルド・トランプ米大統領は2025年11月、高市首相に対し「これ以上緊張を高めないように」と水面下で要請したという。外務省は米側からの指示の有無について回答を避けているが、時期の一致は憶測を呼んでいる。

前述の仲間氏は、2025年12月に東京で片山さつき財務相と面会したことを明かした。かつて尖閣防衛関連組織の顧問を務め、本来なら漁民を支持する立場だったはずの片山氏だが、20分間の面会で「小さな事故が大きな戦争に発展する可能性がある」と直言。尖閣周辺での操業自粛を暗に求めたという。
別の漁師、金城和嗣氏(53)も同様の圧力を感じている。2025年11月末の出港直前、複数の政府関係者から電話があり、尖閣周辺海域を避けるよう求められた。「これまでは一度もそんなことを言われたことはなかった」と金城氏は驚きを隠さない。
中国海警局の接続水域入域、過去最多の357日
公的データによると、中国による尖閣諸島への圧力はかつてないレベルに達している。2025年、中国海警局の船が同海域で確認された日数は357日に上り、ほぼ「年中無休」の状態だ。対照的に、日本漁船の同海域への出漁回数は2024年の18回から、2025年にはわずか8回へと激減している。

現在、日本政府と沖縄は「進退窮まる」状況にある。漁民の活動を放置すれば、中国海警局との偶発的な軍事衝突を招く恐れがある一方、民間活動を完全に撤退・禁止すれば弱腰と受け取られ、中国側にさらなる埋め立てや軍事展開の口実を与えかねない。
英国際戦略研究所(IISS)のロバート・ウォード氏は、「今の日本にとって、その水域にまだ(日本の施政権の)『脈動』があることを示すことが、主権維持の鍵となる」と指摘する。

冬の荒天のため、現在は出漁が制限されているが、仲間氏と金城氏は春になれば再び尖閣海域に戻る計画だ。そこは高級魚・アカマチ(ハマダイ)の宝庫だからだ。
日中間の火種がくすぶる2026年、石垣島の漁師たちが次に錨を上げた時、それが地域紛争の導火線となる懸念は拭えない。
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編集:柄澤南 (関連記事: 米中和解でも「最大の戦場はインド太平洋」 パパロ米司令官が警告、尖閣・台湾への圧力懸念 | 関連記事をもっと読む )











































