トランプ米大統領は21日、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)年次総会に出席し、約70分間にわたり演説を行った。内容は世界経済、移民政策、地政学的リスクなど多岐にわたり、終始強硬な語り口で持論を展開した。
中でも最大の焦点となったのは、やはりグリーンランド問題だ。トランプ氏は「米国が武力を行使してグリーンランドを奪うことはない」と明言しつつ、「私が求めているのは、単なる氷の塊だ」と発言。さらに第二次世界大戦の歴史を引き合いに出し、長年防衛を担ってきた米国の役割を軽視するデンマーク政府を「恩知らず」と批判するなど、その発言は欧州各界に波紋を広げている。
なぜダボスで欧州を公然と批判したのか
トランプ氏は演説で、欧州の現状について「一部の地域はもはや原型を留めておらず、見ていられないほどだ」と述べ、これが決して賞賛の言葉ではないことを強調した。その背景には、欧州が長年進めてきた大規模な移民受け入れ政策や、政府支出の増大、そして外国製品への過度な依存に対する強い不満がある。トランプ氏はこれらが欧州の社会秩序と経済競争力に深刻な打撃を与えていると指摘。一方で、米国は「経済の奇跡」の只中にあると自賛し、欧州が政策を転換しなければ、グローバル競争においてさらに周縁化されるだろうと警告した。
「欲しいのは氷の塊」グリーンランド問題の核心
グリーンランド問題について、トランプ氏は改めて米国による管理権の取得を主張したが、「武力行使」の可能性については明確に否定し、北極圏での軍事衝突懸念の沈静化を図った。
「私が今要求しているのは、単なる氷の塊だ。寒くて、遠く離れた場所にある氷に過ぎない」。トランプ氏はそう表現しつつも、この土地が北極圏の戦略、防衛配備、そして世界全体の安全保障において決定的な意味を持つと強調した。また、米国の関心がレアアースなどの鉱物資源にあるとの見方を否定し、「米国には資源が十分にある」と反論。あくまで国家安全保障と長期的な防衛戦略に基づく動きであることを訴えた。
なぜ第二次大戦の「古傷」を持ち出したのか
演説の中でトランプ氏は、意図的に第二次世界大戦の歴史に言及した。デンマークがナチス・ドイツの侵攻を受け、わずか数時間で占領された史実を挙げ、その後米国がグリーンランドに軍事基地を設置し、実質的な防衛責任を負ったことを強調した。 これは、米国が後から介入してきた外部勢力ではなく、長年にわたりグリーンランドの安全を担保してきた「当事者」であることをアピールする狙いがある。トランプ氏は「当時の米国の助けがなければ、現在の欧州の政治地図や言語は全く違ったものになっていただろう」と述べ、暗に欧州側の「忘恩」を牽制した。 (関連記事: 入管庁が「不法滞在者ゼロプラン」公表 在留外国人377万人、過去最多を更新 空港手続き短縮や「マイナ一体化」推進へ | 関連記事をもっと読む )
デンマークは「恩知らず」か
歴史的経緯への言及に続き、トランプ氏の矛先はデンマーク政府へと向かった。同氏はデンマークの対応を「失望」と表現し、さらに「恩知らず(ingratitude)」という強い言葉で非難した。 トランプ氏は、デンマークがグリーンランド防衛やNATO体制における米国の歴史的貢献を正視せず、地位協定の見直しに対して拒絶反応を示していることに不満を露わにした。「地理的に見ればグリーンランドは北米の一部だ」と主張し、米国がその安全保障に関心を持つのは正当であるにもかかわらず、デンマークが同盟国としての配慮を欠いていることが、米欧関係の摩擦要因になっているとの認識を示した。
















































