「西側」の終焉か 米国はもはや盟友ではない トランプ氏の「領土的野心」が招いた欧米決裂

2026年1月13日、デトロイトで演説を行うドナルド・トランプ米大統領。(写真/AP通信提供)
2026年1月13日、デトロイトで演説を行うドナルド・トランプ米大統領。(写真/AP通信提供)

ドナルド・トランプ米大統領が以前から示していたグリーンランドへの関心は、かつては成金趣味の妄想、あるいはトークショーの笑いの種として扱われてきた。しかし、トランプ氏が欧州に対して関税の脅威を突きつけたことで、この領土拡張への執念は、具体的かつ現実的な「政治的恐喝」へと姿を変えた。

WSJ紙は、欧州の指導者や市民の間で米国への信頼が音を立てて崩れ落ちていると指摘する。半世紀以上共に歩んできた大西洋の盟友が、今や欧州大陸にとって最も差し迫った重大な脅威に転落したのだ。なぜならトランプ氏は、NATO同盟国に単なる軍事費の負担増を求めているだけではない。盟友の領土を直接的に「占領」しようとしているからだ。

「西側」という概念の終焉

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、多くの欧州諸国は依然として対立の緩和を模索しており、安全保障や経済関係において米国との決定的な「デカップリング(切り離し)」は望んでいない。経済成長の低迷と財政難という二重苦に喘ぐ欧州にとって、米軍が抜けた後の安全保障の空白を即座に埋めることは不可能だからだ。リスク低減のために貿易や投資を縮小するコストも、現在の欧州には耐え難い。

たとえ最終的にグリーンランド問題で妥協点が見出されたとしても、欧米が共有してきた「西側世界」というユニークな関係性は、もはや二度と戻らないだろう。その友情はすでに、修復不可能なほどに毒されてしまったからだ。

「トランプは西側の団結を破壊した」

「トランプ政権が現在、欧州の民主主義に突きつけている脅威は、他の権威主義国家のそれと何ら変わりはない」 イタリアの国会議員であり、熱心な大西洋主義者として知られるカルロ・カレンダ氏はそう語気を強める。彼はトランプ氏が西側の団結を破壊したと非難し、「欧州は、それが米国であれロシアであれ、外部からの干渉に対して鉄壁の防御を築かねばならない」と訴えた。しかし同時に、「現時点で欧州には、まだその力がない」と無力感も滲ませた。

欧州は米国の圧力とロシアによるウクライナ侵攻という二重の刺激を受け、すでに再軍備計画に着手している。当初、欧州はNATOの枠組みの中で、米国とより対等なパートナーシップを築くことを望んでいた。だが今となっては、そのビジョンは単なる空想に過ぎなかったように見える。

英王立防衛安全保障研究所(RUSI)のレイチェル・エレフース所長は、先週末が「転換点」だったと分析する。トランプ氏による関税の脅しに加え、伝統的に最も親米的な地域であったグリーンランドとデンマークでさえ、数千人の市民が反米デモに繰り出したのだ。エレフース氏は、欧州の防衛体制は今後、否応なしに「自立」へと舵を切らざるを得なくなると予測する。 (関連記事: 【米欧貿易摩擦】トランプ氏「グリーンランド購入」執着で緊張激化 EU、930億ユーロ規模の報復関税と「反威圧」措置を検討 関連記事をもっと読む

NATOという「信仰」の崩壊

「欧州人にとって、NATOは一種の『信仰』だった」 ブルガリアのシンクタンク、自由戦略センター(Centre for Liberal Strategies)のイワン・クラステフ所長はそう語る。「信仰があったからこそ、欧州人はこれまで防衛問題を真剣に考えてこなかった。しかし今、我々は突然悟ったのだ。米国による同盟国へのコミットメントが非現実的なものであるならば、どんな条約の紙切れも自分たちを守ってはくれないのだと」

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