2027年台湾有事は起こるのか 中国軍の真の標的は台湾にあらず?専門家が読み解く「太平洋の両岸」

風傳媒の番組『下班国際線』で米中台関係を分析する淡江大学戦略研究所の馬準威助教。(写真/陳品佑撮影)
風傳媒の番組『下班国際線』で米中台関係を分析する淡江大学戦略研究所の馬準威助教。(写真/陳品佑撮影)

米国務省が過去最大規模の武器売却を承認

​米国務省はこのほど、総額111億米ドル(約1兆7000億円)に上る対台湾武器売却計画を承認した。これは史上最大規模の武器売却となる。

これを受け、淡江大学国際事務・戦略研究所の馬準威(マ・ジュンウェイ)助理教授が、台湾メディア「風傳媒(Storm Media)」の番組『下班国際線』に出演し、キャスターの路怡珍(ル・イーゼン)氏のインタビューに応じた。馬氏は、台湾が防衛力を向上させ、中国による侵攻コストを高めれば、人民解放軍も対抗して配備や兵器を強化し、威嚇の度合いを強めるだろうと指摘する。

しかし、馬氏は「中国軍が真に意識している重点は、台湾海峡の両岸(中台)ではないかもしれない」と分析する。彼らの視線の先にあるのは「太平洋の両岸」、すなわち米国への威嚇こそが真の目的であるというのだ。

台湾問題は「米中競争の副産物」

馬氏は、大国間の競争という枠組みにおいて、台湾問題はあくまで「副産物」に過ぎないと喝破する。

「台湾の防衛力が過度に向上したからといって、それが原因で人民解放軍の軍事開発が驚天動地の進化を遂げるとは思わない。彼らが真に関心を寄せているのは『米中軍事競争』だ」。これこそが中国共産党の全体的な戦略目標である可能性が高いと馬氏は見ている。

2026年、米中関係は「制御可能」か

​世界が米中それぞれの勢力圏に分断され、台湾がその狭間で複雑な情勢に置かれる中、トランプ政権下で何が起きるのか。路キャスターの問いに対し、馬氏は「米中関係は基本的にコントロール可能だ」との見通しを示した。

その根拠として、今年(2026年)4月に予定されているトランプ大統領の訪中、そして習近平国家主席の答礼訪問(訪米)を挙げる。さらにAPECやG20といった国際会議を含めれば、今年だけで米中首脳は4回対面する可能性があるという。「首脳会談を侮ってはいけない。会談のたびに事務方の官僚たちが調整に動くため、大きなトラブルがなければ、今年は米中のコミュニケーションが比較的密になる1年になるだろう」と分析した。

中国が目指すのは覇権ではなく「歴史的権利の回復」

​将来的な米中競争において、中国は勢力圏の分割を急いでいるのだろうか。馬氏は、中国の戦略目標を見る限り、そうではないと指摘する。

馬氏は、国防大学政治作戦学院・中国軍事事務研究所の元所長である馬振坤氏の論考を引用し、中国を「帰附(きふ)型覇権」と定義した。つまり、東シナ海、南シナ海、台湾海峡は、中国にとって認知上の「歴史的な権力範囲」に過ぎないという解釈だ。
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「中国の論理はこうだ。清朝時代に運悪く国力が衰え失ったものを、今取り戻すだけだ。多くは望まない、歴史的な水域さえ取り戻せればいい」。つまり、中国の思考は新たな勢力圏の拡大ではなく、「本来あるべき歴史的権利の回復・帰属」という概念に基づいている可能性がある。

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