三重県職員採用の「国籍条項」見直し、東大教授ら6人が反対の意見書提出「人権は多数決で決めるべきではない」

東大教授ら6人が三重県知事に意見書を提出し、職員採用の「国籍条項」復活検討やその判断材料とする県民アンケートに対し、「人権は多数決で決めるものではなく、差別の助長につながる」と強く反対した。(写真/黃信維撮影)
東大教授ら6人が三重県知事に意見書を提出し、職員採用の「国籍条項」復活検討やその判断材料とする県民アンケートに対し、「人権は多数決で決めるものではなく、差別の助長につながる」と強く反対した。(写真/黃信維撮影)

三重県の一見勝之知事が県職員採用における「国籍条項」の撤廃を見直す方針を示している問題で、市野川容孝氏や本田由紀氏ら東京大学大学院の教授ら6人が19日、知事宛てに再考を求める意見書を提出した。

提出者は全員が社会学を専門とし、一見知事の母校である東京大学の教員有志。意見書では、人権にかかわる問題をアンケートなどの多数決で決めることの危険性を指摘し、今月末から実施予定の県民アンケートについても「外国人差別の助長につながる」と強く懸念を示している。

「人権の是非は多数決の対象外」

一見知事は昨年12月、県職員採用における国籍要件の撤廃を見直す考えを表明し、その判断材料として今年1月末から実施される「みえ県民1万人アンケート」の結果を参照する意向を示していた。これに対し意見書は、「国籍条項の撤廃は人権や差別撤廃に係わることであり、その是非は多数決で決すべき問題ではない」と反論。

仮に1930年代のドイツでアンケートを行えばユダヤ人の国籍剥奪に賛成多数となった可能性があることを例に挙げ、「少数者の基本的人権を尊重することこそが民主主義の根幹」と訴えた。

「スパイ懸念」等の固定観念を批判

また、一部で懸念されている中国の国家情報法などを念頭に置いた「外国籍の人は違法行為を行う可能性がある」といった見方について、意見書は「間違った固定観念」であると指摘。民主主義国である日本が、政治体制の異なる国とその国民を敵対視し、恐怖心を植え付けるような権威主義的な手法を広めるべきではないと主張した。

アンケート手法にも「誘導」の疑義

実施予定のアンケート手法についても批判がなされた。サンプリングが選挙人名簿に基づくため、当事者である約6万7千人の外国籍住民の声が最初から排除されている点を問題視。さらに、質問項目(問16)が外国籍職員に対する「懸念」を長文で記述する一方で、多文化共生などのプラス面については触れていないことから、「回答者を誘導するものであり、外国人に対する偏見や差別を助長しかねない」と警鐘を鳴らしている。

提出者は、市野川容孝、阿古智子、瀬地山角、本田由紀(以上、総合文化研究科・教育学研究科教授)、髙橋史子、髙谷幸(以上、同准教授)の6氏。彼らは、1999年以降「先進的な政策」として評価されてきた三重県の国籍条項撤廃の歴史を維持し、日本が批准している人種差別撤廃条約の履行に逆行しないよう、知事に賢明な判断を求めた。 (関連記事: 【解説】在留外国人395万人突破の裏で進む「厳格化」 人手不足と排外感情の狭間で揺れる日本社会 関連記事をもっと読む

【お知らせ】公式Xにてプレゼントキャンペーン実施中

風傳媒日本語版の公式X(旧Twitter)では、読者の皆様へ感謝を込めてプレゼント企画を開催中です。抽選で素敵な賞品をプレゼント! ぜひご参加ください。

▼ 詳細・応募はこちらから

風傳媒日本語版X:@stormmedia_jp

編集:小田菜々香

最新ニュース
台湾Elephant Gym、初のドキュメンタリー『More Real Than Dreams』公開 世界ツアーの裏側に迫る
robot home、土地選びから売却までアプリで完結 AI活用で富裕層の資産形成をDXする新サービス発表
「生成AIは生活の脅威」クリエイター9割が悲鳴 2.5万人の調査で浮き彫りに、法整備求める
「西側」の終焉か 米国はもはや盟友ではない トランプ氏の「領土的野心」が招いた欧米決裂
【独占】「クラブを見るだけで手が震えた」元女子ゴルフ世界1位ヤニ・ツェン、11年越しの復活劇 地獄から救ったのは“左打ち”と“自分との対話”
リガク、台湾・新竹に技術センター開設 半導体向けR&D機能を強化、顧客との共同開発も
2026年は「グレイ・スワン」に警戒せよ BNPパリバ中空氏が説くAIバブル崩壊と「悪い円安」のリスク
サンリオ「ポムポムプリン」30周年記念でJR山手線ラッピング電車を運行、車内一色の癒し空間が登場
阿蘇山で不明ヘリの機体発見、火口付近 台湾人客ら3人搭乗、スマホ「衝突検知」が通報の端緒に
台湾・刑事警察局長に邱紹洲氏が就任 「刑事魂」継承、特殊詐欺やAI捜査を強化へ
冬の電気代は夏の2倍?東京都が「HTT」節電術を公開、カーペット設定変更で年6000円超のおトクに
トランプ政権、メモリに「100%関税」示唆 サムスン・台湾勢に激震 米国が狙う次なる戦略物資とは
2027年台湾有事は起こるのか 中国軍の真の標的は台湾にあらず?専門家が読み解く「太平洋の両岸」
日伊首脳、関係を「特別な戦略的パートナーシップ」へ格上げ 外交樹立160周年で共同声明
「自衛隊の介入はさせない」中国軍・台湾包囲演習の真の標的は日米同盟だった ハイマース売却が招いた「A2/AD」の現実
【現地ルポ】3000人が集結「HMJ冬2026」 台湾メディアが見た日本の職人魂と熱気あふれる会場
ユーザー8000万人の「知識帝王」樊登が台湾上陸 蔡康永氏「文明の最後の砦」と絶賛、CMoneyが描く「全知識エコシステム」の全貌
六本木・麻布台・虎ノ門ヒルズで「スイーツの祭典」 名店80店舗が集結、限定パフェや至高のショコラ
【人物】中国が「終身追及」を宣言した台湾の女性検察官 調査局にも容赦ない、寡黙な「鉄の女」陳舒怡氏とは
【6G競争の幕開け】「スターリンク」が標準装備へ 低軌道衛星とモバイル通信の融合時代が到来
ソフトバンクからWBCへ最大10人派遣 台湾代表に新加入・徐若熙ら選出、日本戦で「僚友対決」も
デンソー、AUTOSARの最上位「コア・パートナー」に昇格 設立メンバーと共に標準化主導へ
大阪・中之島に日本最大級の57階建てタワーマンション 2032年完成へ
「ULTRA JAPAN 2026」開催決定!チケット先行も開始、9月19・20日にお台場が揺れる
茨城県、「外国人版いばらき幸福度指標」で全国2位に躍進 「働く・住む・学ぶ」全分野で順位上昇
物流効率化法「改正」目前、最新ロボット・DXが集結 スマート物流EXPO
超特急、15周年ツアーファイナルをU-NEXT独占生配信 月額会員は「追加料金なし」で見放題
片山財務相、「サナエノミクス」の成果強調 28年ぶりPB黒字化と「日経平均5万4000円」への道筋
「支援とはゴールまで運ぶことではない」三重大病院通訳・アラウコ氏が入管庁で提言 「過剰な介入」への懸念と自立の形
高市政権、外国人政策の基本方針を23日に決定へ 在留資格厳格化と帰化要件の延長盛り込む
BSSTO 8周年、LiLiCo氏とミシュランシェフによる映画と食のペアリング体験を2月18日開催
【解説】国籍取得「10年」へ延長検討も、民間は支援に沸く 高市政権の「厳格化」が生む新たな商機
横浜赤レンガ「鍋小屋2026」開幕 初の「鍋総選挙」中間1位は近江牛、エヴァコラボ鍋や昭和レトロな横丁も
舞台裏》米軍の「ベネズエラ斬首作戦」は台湾でも再現可能か 台湾が真に警戒する中国軍の「新戦術」の正体
【米欧貿易摩擦】トランプ氏「グリーンランド購入」執着で緊張激化 EU、930億ユーロ規模の報復関税と「反威圧」措置を検討
TSMC米投資拡大は台湾の「シリコンの盾」を崩すか 米識者「米国の代替完了は2050年」
台湾のデータ通信量、インド抜き世界首位へ AIで変わる通信の常識、「上り帯域」が収益化の鍵に
【解説】高市首相、乾坤一擲の冒頭解散 裏金封じと自公決裂、自民党に迫る「最難関」の決戦
【解説】在留外国人395万人突破の裏で進む「厳格化」 人手不足と排外感情の狭間で揺れる日本社会
中国、NVIDIA「H200」の輸入阻止か 「供給網一時停止」、在庫廃棄の懸念高まる
李逸洋・駐日代表、秋田・鈴木知事と初会談 被災地米で醸した「日台友好の酒」も紹介
李逸洋・駐日代表、育桜会新年会に出席 サクラを通じた日台の絆を強調 華僑との会合では対米経済戦略に
NTTデータや住商、1500億円投じアジア最大級の海底ケーブル新設 台湾への接続も視野
電通、東大エコノミックコンサルティングと共同プロジェクト開始 データ・クリエイティビティ・経済学で企業課題解決へ
デンソー、自己株式公開買付けの条件変更で買付価格上限を2,209円に引き上げ 豊田自動織機株への応募で特別利益2,524億円を計上へ
JR東日本クロスステーション、「グランスタ」「エキュート」で2026年バレンタインフェア「One Gift, Too Much Love.」
産学民連携で門前仲町の魅力を発信 立教大生が主導する地域交流イベント開催
「交渉は喝采なき仕事」蔡英文前総統、台米関税合意で当時の苦労を吐露 頼総統は「一睡もせず」見守る
【育成就労】転籍制限、将来的な「1年」短縮を明記 バス運転手はN4容認も「貸切」除外など厳格条件
静岡市久能山で約130年の歴史誇る「石垣いちご」のいちご狩りが本格化 環境に配慮した伝統農法と市内各地でのスイーツイベント開催