「狙いはレアアースだけではない?」トランプ氏、2019年にグリーンランドと覚書締結済み 中国の支配網を脅かす「北極の宝庫」の全貌

2026-01-25 16:31
スイス・ダボスの世界経済フォーラム(WEF)で演説するトランプ米大統領。グリーンランド取得の目的について「レアアース採掘のためではない」と主張した。(写真/AP通信)
スイス・ダボスの世界経済フォーラム(WEF)で演説するトランプ米大統領。グリーンランド取得の目的について「レアアース採掘のためではない」と主張した。(写真/AP通信)

トランプ米大統領が再び北極圏に熱視線を送っている。デンマーク領グリーンランドの管理権取得に向けた意欲を公言したのだ。この動きの背景には、人工知能(AI)、電気自動車(EV)、半導体、そして防衛産業の中核となる戦略資源「レアアース(希土類)」の需要急増がある。米国が北極圏の地政学および鉱物資源の確保に向け、動きを加速させているのは明らかだ。

レアアースとは、ランタノイド系列の15元素にイットリウムとスカンジウムを加えた計17元素の総称だ。AI向け計算チップ、家電、EVモーター、航空機エンジン、医療機器、石油精製、先端半導体、さらにはミサイルやレーダーといった軍事システムに至るまで広範囲に使用される。各国がハイテク覇権と国防の自立を競う中、レアアース供給の安定性は、いまや国家安全保障上の最重要課題となっている。

2023・24年の生産量は「ゼロ」?中国による圧倒的支配

世界の生産構造において、中国の優位性は依然として揺るがない。米国地質調査所(USGS)のデータによれば、2024年の中国のレアアース鉱山生産量は約27万トンで、米国の4.5万トンを大きく引き離している。世界総生産量(約39万トン)の過半数を中国が占めており、この供給集中リスクに対し、米国および同盟国は長らく懸念を抱いてきた。

対照的に、デンマーク領グリーンランドは、金、鉄、銅、黒鉛に加え、ゲルマニウムやガリウムといったハイテク必須金属を含む大量の重要鉱物が眠っていると評価されている。しかし、地理的な隔絶、過酷な気候、環境規制の壁に阻まれ、開発は遅々として進んでいない。USGSの分析によると、2023年および2024年の同地におけるレアアース採掘量は「ゼロ」であり、資源が実質的な供給能力へと転化されていない現状が浮き彫りとなった。

眠れる資源大国 埋蔵量は世界8位の150万トン

USGSの推計によると、グリーンランドのレアアース埋蔵量は約150万トンで、世界ランキングでは8位に位置する。

【世界のレアアース埋蔵量ランキング(USGS調べ)】

  1. 中国(4400万トン)
  2. ブラジル(2100万トン)
  3. インド(690万トン)
  4. オーストラリア(570万トン)
  5. ロシア(380万トン)
  6. ベトナム(350万トン)
  7. 米国(190万トン)
  8. グリーンランド(150万トン)

この「高埋蔵量・低産出」という構造こそが、ワシントンにとっては潜在的な戦略的窓口(ウィンドウ)と映り、同時に中国やロシアといった地政学的ライバルの関心を引きつけている要因でもある。

なぜワシントンは「脱・中国」供給網を急ぐのか

​同盟国との連携において、米国は代替サプライチェーンの構築を同時並行で進めている。昨年10月には、米国とオーストラリアが総額約85億ドル規模の重要鉱物開発協定を締結し、「非中国」供給網への投資と技術協力を強化した。
(関連記事: 「金は払わない、欲しいのは支配権だ」トランプ氏がNATOと合意宣言、激怒するグリーンランド首相 関連記事をもっと読む

時計の針をトランプ第1次政権時代に戻すと、2019年に米国はすでにグリーンランドと鉱物調査に関する覚書(MOU)を締結している。技術的知見の交換や資源開発の実現可能性評価に着手していたが、戦略国際問題研究所(CSIS)によれば、この覚書は期限切れが迫っているという。

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