AI大手のOpenAIは、世界的な事業拡大の一環として、新たな戦略的イニシアチブ「OpenAI for Countries(国家のためのOpenAI)」を推進している。各国の政府に対し、データセンターの建設投資や、教育・医療・防災といった公共分野における人工知能(AI)活用の深化を呼びかける狙いだ。
この計画の主たる目的は、AIリソースを持つ国と持たざる国の間の「デジタル・ディバイド(情報格差)」を解消することにある。OpenAIは、現在の多くの国におけるAI活用レベルが、技術的に実現可能なポテンシャルを大きく下回っていると指摘。このイニシアチブを通じて、各国が自主的な技術力を構築し、複雑な課題解決におけるAIの実質的なメリットを享受できるよう支援するとしている。
オズボーン元英財務相を顧問に、IPO視野の1兆ドル企業へ
この国際協力を推進するため、OpenAIは昨年12月、元英国財務大臣のジョージ・オズボーン(George Osborne)氏を同計画の顧問に任命した。今週、オズボーン氏はOpenAIのグローバル・アフェアーズ担当幹部クリス・リーハン(Chris Lehane)氏と共に、スイス・ダボスで開催中の世界経済フォーラム(WEF)に出席。各国政府高官に対し、積極的なプレゼンテーションを行っている。
この動きは、AIブームにおけるOpenAIの主導的地位を盤石にするための核心的な戦略と見られている。同社の最近の評価額は5000億ドルに達しており、現在は新規株式公開(IPO)の可能性も検討中だ。実現すれば、時価総額は1兆ドル規模に達すると予測されている。
エストニアは教育、韓国は防災... 各国の導入事例
現在、すでに11カ国が「OpenAI for Countries」プログラムに参加しており、各国のニーズに合わせた協力モデルが構築されている。
- エストニア: OpenAIの教育用ツール「ChatGPT Edu」を全国の中等教育システムに導入する。
- ノルウェー・UAE: OpenAIが地元企業によるデータセンター建設を支援し、最初の主要顧客(アンカーテナント)となることで、現地のインフラ開発を支える。
- 韓国: 韓国水資源公社(K-water)と協議中。気候変動による極端な豪雨や水不足に対応するため、AIを活用したリアルタイム洪水予警報システムの開発を進めている。
シンガポールは「コーディング」特化、利用実態に地域差
OpenAIがロイター通信に提示した内部レポートによると、AIの利用行動には顕著な差異が存在する。上位5%の「パワーユーザー」は、一般ユーザーに比べて高度な推論機能を使用する頻度が7倍も高く、大衆によるAI機能の活用余地は依然として大きいことが示された。
また、地域による用途の偏りも鮮明だ。例えばシンガポールではAIの普及率が極めて高いが、ユーザーが「プログラミングコード」関連のプロンプトを入力する割合は、世界平均の3倍以上に達している。OpenAIは、各国政府がAI技術をより深く統合することで、公共サービスの最適化と危機対応能力を効果的に向上させることができると強調している。
編集:佐野華美 (関連記事: 【6G競争】日本は「防衛・ソフト」、台湾は「AI-RAN」へ NEC転換で見えた次世代通信の覇権図 | 関連記事をもっと読む )













































