高市早苗首相による「台湾有事」発言を受け、中国外務省が昨年11月14日深夜に「日本への渡航自粛」を呼びかけたことは記憶に新しい。これを受け、中国の大手航空会社3社は即座に日本行きの航空券を無料で変更・払い戻し可能にする措置を取った。
そんな中、中国文化観光省がこのほど「2026年版 台湾地区への旅行契約(モデル約款)」を公表し、外部からは「中台間の観光規制がついに緩和されるのではないか」との憶測が飛び交っている。これに対し、台湾の対中政策を管轄する大陸委員会(陸委会)の梁文傑・副主任委員(報道官)は、「単なる定例的な事務更新に過ぎず、特別な意味はない」と冷静な反応を示した。さらに中台間の現状を「卓球」に例え、「我々がサーブを打っても、相手が打ち返してこない」と、対話が停滞している現状を指摘した。
中国人観光客の解禁なるか?中国が「訪台旅行契約」を更新
中国文化観光省と市場監督管理総局は20日、「2026年版 団体旅行契約(モデル約款)」を公表した。ここには「大陸住民の台湾地区への旅行契約」も含まれており、保険加入や団体の最小催行人数、紛争解決のルールなどが規定され、3月31日から正式に施行される予定だ。政治的に微妙な時期での発表だけに、これが中国人団体客の台湾旅行再開に向けた「準備動作」ではないかと注目が集まっている。
しかし、陸委会の梁報道官はこの見方を否定した。「この文書は2014年から毎年発行されているもので、今回はその更新版だ。定例的な事務手続きであり、政治的なシグナルとは見ていない」その上で、観光再開の条件として、まずは「観光小両会(台湾海峡両岸観光旅遊協会と海峡両岸旅遊交流協会)」と呼ばれる実務者レベルでの協議再開に応じるよう、中国側に求めた。「双方の旅行者の安全、品質、安定性、公平性を確保してこそ、観光は再開できる」との立場だ。
梁氏は、中国側が契約モデルを更新したことについて「(台湾への)団体旅行を拒絶しない意思表示」としては評価しつつも、肝心の協議要請には沈黙を続けていると指摘。「中台関係は卓球のようなものだ。相手がボールを受けず、打ち返してもこなければ、試合は成立しない」と語った。
「独立派処罰」の恐怖、遠のく観光再開
メディアからは「2026年11月の統一地方選挙(九合一選挙)は、中国の一般市民に台湾の民主主義や日常を知ってもらう絶好の機会ではないか」との質問も飛んだが、陸委会の姿勢は慎重だ。
梁氏は「中台交流のタイミングは、一瞬で消えてしまうことが多い」と語る。過去にも、中国側が台湾海峡の航空路「M503」を一方的に変更したことで、台湾からの団体旅行が中止に追い込まれた経緯がある。さらに中国当局はその後、いわゆる「台湾独立派処罰のための22カ条の意見」を発表。台湾人を恣意的に「独立派」や「共犯者」と認定しかねない法的威嚇を行ったため、台湾政府は中国・香港・マカオへの渡航警戒レベルを「オレンジ(不要不急の渡航自粛)」に引き上げざるを得なかった。
梁氏は、「中国共産党は一方的に『誰が独立派か』『誰が共犯か』を定義し、台湾に対して非友好的、あるいは悪質とも言える措置をとっている。我々が関係改善を試みるたびに、相手側が悪化させる挙動に出る。この悪循環は誰も望んでいない」と述べた。現状において、観光再開の鍵は依然として「中国側が交渉のテーブルに戻り、観光の安全と品質を保証できるか」にかかっているようだ。
資料來源:陸委會
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編集:梅木奈実















































