中国人民解放軍の上層部に再び激震が走った。中国国防省の最新情報によると、中国共産党中央軍事委員会(中軍委)の張又侠副主席および劉振立委員が「重大な規律・法律違反」の疑いで立件・審査されていることが明らかになった。
この大規模な粛清は、習近平国家主席による軍権の完全掌握を象徴するだけでなく、習氏が権力において「孤高の独裁者」となったことを意味すると専門家は指摘する。中国軍内部の混乱を招いてでも「絶対的忠誠」を優先する習氏の狙いは何か。上将クラスのみならず、中将・少将クラスにまで及ぶ粛清の嵐は、向こう5年から10年の長期政権を見据えた布石である可能性が高い。
張又俠・劉振立両氏の失脚、習近平氏の狙いは今後5〜10年の長期政権への布石か
中国国防省公式サイトによると、政治局委員で中軍委副主席の張又侠氏、および中軍委委員で統合参謀部参謀長の劉振立氏に対し、党中央は立件・審査を決定した。
台湾の中央通信社によると、社団法人安全台湾学会の楊太源理事長は、「習氏は現在、解放軍の各階層で徹底的な粛清を行っている」と分析。その動機は将軍らの忠誠心への疑念にあり、軍隊を完全に「習氏の私兵(習家軍)」化することで権力基盤を固め、今後5年から10年の長期執政に備えている可能性を示している。
楊氏はまた、軍高層の動揺は避けられないものの、「軍組織自体は存続しており、習氏は『軍は乱れない』という確信があるからこそ高官を処分できる」と見る。現在は張升民・中軍委委員(軍規律検査委員会書記)を通じ、軍の規律部門を使って全軍を掌握している状態だ。楊氏は、台湾軍はこの機に乗じて国防建設を強化すべきだと提言する。
権力の大粛清:「紅二代」の威光も通用せず、軍内は「習家軍」のみに
淡江大学国際事務戦略研究所の林穎佑准教授は、習政権下での粛清の歴史を振り返る。胡錦濤前総書記時代の軍委副主席だった徐才厚氏や郭伯雄氏に始まり、第18・19期中央軍委の張陽氏や房峰輝氏、そして第20期の魏鳳和(ロケット軍出身)、李尚福(前国防相)、苗華(習氏と福建省で同僚)らが次々と失脚した。
特筆すべきは張又侠氏の失脚だ。張氏は「紅二代(革命の功臣の子弟)」であり、父の張宗遜氏は開国上将。習氏の父・習仲勲氏とも親交があり、習氏とは幼馴染のような関係とされてきた。これまで「安泰」と見られていた張氏の失脚は、習氏にとって「いかなる背景や個人的な絆も免死符(命の保証)にはならない」という冷徹な事実を突きつけている。
林氏は、「出身軍種や派閥、地域に関係なく、誰も逃れられない」と指摘。「太子党(党高級幹部の子弟)」という後ろ盾さえも無効化した今回の措置は、習氏にとって「紅二代」や「軍二代」といった血縁ネットワークがもはや無価値であることを示している。 (関連記事: 張又俠氏の失脚は「台湾海峡の危険信号」か?米在住の翁履中氏が指摘「中国は“滑走路”を整備中」、台湾が最も恐れる「一点」とは | 関連記事をもっと読む )
「スターリン式」恐怖統治へ、実戦経験者不在の異常事態
現在、中国共産党中央軍事委員会は前例のない事態に陥っている。同委員会に残っているのは、主席の習近平氏と副主席の張升民氏のみで、他の委員は全員失脚した状態だ。林氏は「張升民氏が政治工作・軍紀律検査系統の出身であることを踏まえ、現在の中央軍委には『野戦部隊の指揮経験』を持つ将官が一人もいない状態」と指摘。「習氏にとって、現在は『対外的な作戦能力』よりも『軍内部の安定』が優先順位として高いことが浮き彫りになった」と分析している。















































