ドル円相場の急激な変動を受け、市場では日本政府だけでなく米国政府も協調介入を行っているのではないかとの観測が浮上していた。しかし、米国のスコット・ベッセント財務長官はこれを明確に否定。「円相場を支えるための市場介入は絶対にしていない」と発言したことで、ドル円相場は再び円安方向へと振れた。
台湾の金融業界関係者は「現時点では、米国が台湾やその他のアジア諸国に対して通貨切り上げ(利上げ)を求めている形跡はなく、過度な懸念は不要だ」との見方を示している。
「米国による介入」は本当にないのか
ベッセント氏は29日(現地時間)、米CNBCのインタビューに応じ、米国が円安阻止のために市場介入したという観測を「絶対にない」と否定した。この発言は、皮肉にも直後の円売りを誘発し、為替レートは大幅な円安へと動いた。
これについて、ある元マクロヘッジファンド幹部は『風傳媒』の取材に対し、「米国がアジア通貨全般に対して意図的な切り下げ(自国通貨安)を求めている確たる証拠は見当たらない」と同意する。また、中国から日本への圧力についても言及し、「日本の保守強硬派(高市政権など)が政治的に実質的な譲歩を見せない限り、中国側の圧力が緩むことはないだろう。これは米中対立という地政学的な大枠の中での重要な一要素だ」と分析した。
高市首相の「賭け」とインフレ圧力
専門家は、日米当局がこのタイミングで為替動向に神経質になっている背景には、ベッセント氏の発言以上の理由があると見る。それは「2026年の日本のインフレ」だ。日本国民が「極度の痛み」を感じるレベルまで物価上昇が進むと予測されている。
さらに、高市早苗首相による「解散総選挙」という政治的賭けが、中国による対日・構造的打撃(インフレ誘発的な圧力)を招く恐れがあり、これが円相場にとって重荷になると指摘する。
「日本の当局がどうインフレ率を算出・発表しようとも、日銀への利上げ圧力は今後高まり続ける」と指摘する。しかし同時に、円の急激な独歩高を懸念する台湾の投資家に対しては「そこまで緊張する必要はない」と強調する。
「FRB(米連邦準備制度理事会)が大幅な利下げに踏み切らない限り、日銀には日米金利差を縮小させるだけの大幅利上げを行う余地がない。したがって、ファンダメンタルズの観点から円が暴騰するシナリオは考えにくい」

ベッセント氏の「盲点」 金・コモディティへの無関心
金(ゴールド)、銀、その他金属やコモディティ価格が最高値を更新し続けている現状に対し、この専門家は「ベッセント氏の関心はそこにない」と断言する。
「ジョージ・ソロス氏の元でチーフ・トレーダーを務めたベッセント氏は、外国為替(FX)のプロフェッショナルだが、債券市場への理解は相対的に限定的で、為替との連動性という側面でしか見ていない節がある」
ベッセント氏の現在の最大の関心事は、円安がさらに進行することで「日本が保有する米国債を投げ売りすること」を防ぐ点に集中しているという。「彼はそれに全精力を注いでいるが、その対応が引き起こす他の金融副作用(コモディティ高騰など)には気づいていないようだ」
専門家は最後に、台湾や日本の投資家への指針として、「今後注視すべきは為替そのものよりも、米2年国債利回りの動きだ」と提言した。
編集:梅木奈実
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