紛争下の性暴力、前年比25%増の4,600件超「氷山の一角に過ぎない」 国連特別代表が都内で警鐘、米トランプ政権の動向に懸念も
紛争下の性暴力が前年比25%増と急増する中、国連パッテン特別代表が来日し、トランプ政権による米国の支援縮小への懸念を示唆しつつ、日本を含む国際社会に対し、決して後退することなくサバイバー支援と司法追及の取り組みを強化し続けるよう強く求めた。(写真:日本記者クラブ)
紛争下の性的暴力担当国連事務総長特別代表を務めるプラミラ・パッテン(Pramila Patten)氏は1月27日、東京・内幸町の日本記者クラブで記者会見を行った。パッテン氏は世界各地の紛争地域で性暴力が深刻化している現状を報告するとともに、日本政府に対し継続的な支援と連携を強く求めた。
パッテン氏が明らかにした最新の年次報告書(2024年版)によると、21カ国で検証された紛争関連の性暴力事例は4,600件以上に達し、前年比で25%増加した。特に子どもに関連する事例は35%増と激増。パッテン氏は「データで示されているのは氷山の一角に過ぎない」と強調し、実態は報告数を遥かに上回るとの深刻な認識を示した。
戦術として組織化される「性的暴力」の惨状
パッテン氏は、性暴力が戦争、拷問、テロ、そして政治的抑圧の「戦術」として組織的に利用されている実態を告発した。報告書によると、コンゴ民主共和国、中央アフリカ共和国、南スーダンが事例数の多い上位3カ国となっている。
特にスーダンでは「戦争が女性や子どもの身体の上で行われている」と表現されるほど事態が悪化。民兵組織「即応支援部隊(RSF)」が家々を回り、家族の目の前で女性や少女をレイプするといった残虐行為が横行しているという。また、食料不安を背景とした「サバイバルセックス(生き延びるための性行為)」の強制や、医療施設への意図的な攻撃、人身取引の増加といった極めて憂慮すべき傾向も確認されている。
トランプ政権による「米国の国連離脱」への危機感
会見では、米国のトランプ政権が国連機関からの脱退や資金拠出の停止を示唆していることへの懸念も語られた。パッテン氏は、自身のポストが2009年に当時のヒラリー・クリントン米国務長官の主導(安保理決議1888号)によって設立された経緯に触れ、米国がこれまで中心的かつ政治的なサポーターであったことを説明。
現在発出されている大統領令の影響については詳細なガイダンスを待っている段階としつつも、「サバイバー(生存者)支援を後退させるわけにはいかない」と断言。16年間の活動実績を維持するために、日本を含む同盟国からの強力な支援が不可欠であると訴えた。
日本の貢献を高く評価 「不確実な時代の結束」を
パッテン氏は、日本政府が2014年以来、約1,600万ドル(約24億円)以上の資金を拠出し、サバイバーへの医療、心理的ケア、法的支援を支えてきたことに深い謝意を表明した。
具体的な成果として、コンゴ民主共和国で40人の子どもをレイプした州議会議員の訴追・有罪判決に至る過程で、日本が支援する「法の支配・性的暴力に関する専門家チーム」が重要な役割を果たした事例を紹介。司法制度構築における日本の貢献を「国際的な模範」として高く評価した。
パッテン氏は「今は不確実性の時代であり、我々の決意が試されている」と述べ、サバイバーが恐怖のない未来を手に入れるためには、国際社会が今こそ結束して行動を起こすべきだと締めくくった。
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