「習近平が私を捕らえるなら公開を」張又俠氏の「密書」拡散 軍事クーデター説と台湾侵攻反対の真相

2026-01-31 18:19
2026年1月16日、北京で二国間会談を行うカナダのカーニー首相と中国の習近平国家主席。(写真/AP通信提供)
2026年1月16日、北京で二国間会談を行うカナダのカーニー首相と中国の習近平国家主席。(写真/AP通信提供)

中国共産党の最高軍事機関である中央軍事委員会の張又俠副主席が当局の調査を受けているとの情報が飛び交う中、SNS上では張氏が逮捕直前に残したとされる「習近平への公開書簡」が急速に拡散している。

全文4,000字を超えるこの文書は、習近平国家主席の「大院兄弟(同じ敷地で育った幼馴染としての盟友)」の立場から綴られた政治的な遺書とも取れる内容だ。しかし、現時点でその真偽を証明する手立てはない。書簡は2025年12月に口述されたとされ、両者の決裂が決定的となった要因として「軍事委員会主席責任制の私物化」を指摘。さらに、張氏が台湾への武力侵攻に強く反対し、習氏に対して第21回党大会での引退を求めていたことが記されている。

錯綜する「張又俠失脚」情報、ネット上は「パラレルワールド」化

張又俠氏の失脚に関する公式な詳細は不明だが、習近平氏に次ぐ軍のナンバー2という重鎮であるだけに、様々な憶測が飛び交い、ネット上では真偽不明の情報が入り乱れる「多元的なナラティブ(語り)」が形成されている。

「軍内部が動揺している」「一部の将校が辞表を提出した」といった情報は、主に海外の政治評論番組や匿名の内部告発をソースとしており、クロスチェック可能な一次情報は皆無に近い。主な流言は以下の通りだ。

「部隊の北京入り・勤王」映像の拡散

X(旧Twitter)などのSNSプラットフォームでは、「各地の解放軍部隊が北京へ向かっている」「張又俠を救出するための『勤王(君主を守るための挙兵)』だ」と主張する写真や動画が大量に投稿されている。台湾の政論番組でもこれらが取り上げられているが、撮影場所、時間、部隊番号などは特定されていない。衛星画像やオープンソース・インテリジェンス(OSINT)による裏付けもなく、現時点では検証待ちの素材、あるいはフェイク映像の域を出ない。

「全人民に告ぐ書」の出現

また、「全人民に告ぐ書」と題された文書もネット上に出現した。全軍・全民に蜂起を呼びかける内容で、張又俠氏や、同じく動静が注目される劉振立(統合参謀部参謀長)の異変と関連付けて拡散されている。しかし、発信元や執筆者は不明であり、実際に動員効果があった形跡や、権力中枢の関与を示す証拠は見当たらない。

拡散する「公開書簡」の中身 台湾侵攻と独裁への批判

今回最も注目を集めているのが、『張又俠から習近平への一通の公開書簡』である。ネット上で流布するこの文書は、両者の決裂の核心を以下の2点にあると主張している。

書簡は、習氏に対し独裁を終わらせ、次期党大会で権力の座を降りるよう迫る内容となっている。しかし、現存するのは電子テキストのみで、本人の署名入り手書き文書などは確認されていない。

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