日本の自民党と公明党が政策の対立によって新政権の組閣進展が遅れる中、自由民主党の新党首である高市早苗氏の首相就任は10月20日まで遅れる可能性があると報じられている。外部ではこれが高市氏が日本初の女性首相となる道を阻む要因になるかどうかが注目されている。
元日本海上自衛隊の海将補、現笹川平和財団の高級研究員である山本勝也氏はそうは考えていない。彼は《風傳媒》のインタビューで、高市氏は調整力があり、保守的な立場であるトランプ政権と円滑なコミュニケーションを維持できると述べた。しかし、彼女が就任後に直面する最初の外交的課題は、トランプ政権の同盟国への防衛支出に対する新たな圧力になるだろうと指摘している。
米国の圧力が増す中、日本は防衛費「2%」から「5%」への挑戦
米国大統領トランプ氏が指名した国防省インド太平洋安全保障問題担当次官補候補ジョン・ノー氏が最近の上院軍事委員会の公聴会で、日本は「長期間にわたり自らの防衛支出を過小評価してきた」とし、中国や北朝鮮の脅威に対抗するための大幅な投資が必要だと述べ、長距離打撃、防空、海上支配能力の向上にもっとリソースを投入すべきであると指摘した。
《ジャパンタイムズ》はペンタゴン関係者を引用し、米国側が6月に日本を含む同盟国に対して国防費をGDPの5%まで引き上げるよう正式に求めたことを明らかにしたと報じた。これは米国側が東京に対して公式に明確な数字を提示した初めての例である。
東京側は具体的な割合の要請を否定しているものの、トランプ氏が4月に日米同盟が「一方的すぎる」と批判し、さらなる負担を求め、「そうでなければ米軍を再配置する」としている。トランプ氏が10月末に日本を訪問する予定であり、高市氏が10月20日に首相として順調に就任した場合、これが重要な外交試験となる。
「防衛とは兵器購入ではなく、社会のレジリエンス構築である」
山本氏は8日にアジア会議が開催した「新南向政策+シンクタンク頂上会議:インド太平洋のレジリエンスポリシー展望」に参加し、イベント期間中に《風傳媒》のインタビューを受けた。彼はトランプ政権が日本に防衛支出の拡大を要求する可能性について、「5%がどのように算出されたものか、まずはっきりさせなければならない」と語った。

山本氏は、米国が数値で「防衛責任」を定義する方法は非常に単純化されていると指摘している。「防衛は武器購入や軍人給料だけではなく、インフラ、防災、技術産業、エネルギー安全など社会全体のレジリエンスも考えるべきである」と述べている。
「もしも電力網、通信システム、サプライチェーンが麻痺するなら、軍隊がいくら強力でも役に立たない」と彼は言う。現代の防衛力とは「社会全体が危機に対してどのように耐えられるか」であると指摘している。 (関連記事: 高市早苗氏、「台湾有事=日本有事」に賛同? 日本防衛学者が政府の公式見解を否定 | 関連記事をもっと読む )
山本氏は、日本と台湾は技術の自主性とサプライチェーンのレジリエンス向上の観点から防衛投資を考えるべきだと強調している。「単に武器を購入するのではなく、防衛産業を構築し、技術能力を強化することが真に国防を強化する方法である」と述べている。