独占インタビュー》高市早苗氏が直面する「最初の外交試練」 トランプ氏が同盟国に軍事費GDP5%要求へ

10月8日、元海上自衛隊海将補で現笹川和平財団の上級研究員である山本勝也氏が台湾アジア会議が開催する「新南向政策+シンクタンクサミット:インド太平洋のレジリエンスポリシー展望」に参加するため来台し、《風傳媒》のインタビューに応じた。(写真/台亞會提供)
10月8日、元海上自衛隊海将補で現笹川和平財団の上級研究員である山本勝也氏が台湾アジア会議が開催する「新南向政策+シンクタンクサミット:インド太平洋のレジリエンスポリシー展望」に参加するため来台し、《風傳媒》のインタビューに応じた。(写真/台亞會提供)
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自民党と公明党の政策対立により、新政権の組閣作業が難航している。自民党の新総裁・高市早苗氏の首相就任は、当初予定より遅れ、10月20日前後になる見通しだ。外部では、これが日本初の女性首相誕生を阻む要因になるのではないかとの懸念も出ている。

この点について、元海上自衛隊海将補(少将級)で現在は笹川平和財団の上級研究員を務める山本勝也氏は、悲観する必要はないと語る。

山本氏は『風傳媒』の単独インタビューに応じ、「高市氏には調整力があり、保守的立場を共有するトランプ政権とも円滑に意思疎通が図れる」と述べた。その上で、「高市氏が就任後、最初に直面する外交上の課題は、トランプ政権からの同盟国に対する防衛費増額圧力になるだろう」と指摘した。

米国の要求強まる:「2%」から「5%」への防衛費引き上げ圧力

トランプ氏が指名した国防次官補(インド太平洋安全保障担当)の候補者ジョン・ノー氏は、先日行われた上院軍事委員会の公聴会で、「日本は長年にわたり自国防衛費を過小評価してきた」と指摘し、「中国と北朝鮮の脅威に対応するため、日本は拒止能力を構築し、集団防衛を強化する必要がある。そのためには、長距離攻撃力、ミサイル防衛力、海上制圧力への投資を増やすべきだ」と述べた。

『ジャパン・タイムズ(The Japan Times)』は、米国防総省関係者の話として、米国が6月に正式に、同盟国に対して国防費をGDP比5%に引き上げるよう求めたと報道した。これは米国が日本に対して具体的な数値目標を公式に提示した初めてのケースであり、「新たな世界基準」と位置づけられている。

日本政府は具体的な要請を受けた事実を否定しているが、トランプ氏は4月に「日米同盟は一方的だ」と批判し、「日本はもっと負担すべきだ。そうでなければ、米軍を再配置する」と発言している。10月下旬に予定されるトランプ氏の訪日にあわせ、高市氏が20日に首相に就任すれば、これが彼女にとって初の重大な外交試練となる。

「防衛とは武器購入ではなく、社会のレジリエンス構築だ」

山本氏は10月8日、台北で開催された「新南向政策+シンクタンクサミット:インド太平洋レジリエンス政策展望」に出席し、その際に『風傳媒』のインタビューに応じた。トランプ政権が日本に防衛費拡大を求める方針について、山本氏は率直にこう語った。「まずは、その“5%”がどのように計算されているのかを明確にすべきだ。」

2025年10月、美國總統川普。(美聯社)
アメリカ合衆国大統領ドナルド・トランプ氏(写真/AP通信提供)

山本氏は、「米国が数字だけで“防衛責任”を定義するのはあまりに単純化しすぎている」と指摘する。「防衛とは、武器の購入や兵士の給与だけではない。社会全体のレジリエンス――インフラ整備、防災体制、科学技術産業、エネルギー安全保障――そうした要素もすべて防衛の一部だ」と語った。 (関連記事: 独占インタビュー》高市早苗氏、日本初の女性首相挑戦か 福島伸享衆議院議員:「有志・改革の会」が鍵となる位置に 関連記事をもっと読む

「もし電力網や通信網、供給網(サプライチェーン)が麻痺したら、いくら強い軍を持っていても意味がない。現代の防衛力とは、社会全体が危機に耐える力のことだ」と強調する。

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