季凡の視点:高市政権の誕生で日本経済はどう動く?「緩和延長・財政拡張」シナリオに投資家の視線集中

2025年10月4日、高市早苗氏は自民党総裁選で勝利した。(写真/AP通信提供)
2025年10月4日、高市早苗氏は自民党総裁選で勝利した。(写真/AP通信提供)
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10月4日、日本自民党総裁選挙が終了し、高市早苗氏が勝利を収めた。もし今後、国会での推薦が順調に進めば、日本初の女性首相となる。高市氏は経済担当のスタッフと共に「まずは経済の安定、次に段階的な正常化」を進める方針を示した。具体的には、日銀(BOJ)と成長目標との調整を求め、早期の利上げを避けるべきだとし、財政支援によって名目成長を底上げすることを強調した。WSJは、これを受けて市場は緩和策の延長を予想し、日経平均は大きく上昇、円は弱含みとなり、割引率と企業の利益予想が同時に支えられる形となったと評価している。

しかし、政治と市場は常に直線的に進むわけではない。《ウォール・ストリート・ジャーナル》の報道によると、10月10日、自民党と長年連携してきた公明党が連立政府からの離脱を発表した。このため、「高市内閣」は過渡期における権力の不確実性に直面している。この点は、政策が緩和方向に向かっているものの、財政と構造改革を進めるための政治的資本が十分であるかどうかについては、今後も注視する必要があることを示唆している。

以下、3つのレベルから解析し、「国際株式市場の上昇継続」に対し「偏向的だが無条件ではない」という結論を導く理由を示す。

一、世界資産の価格設定の鍵:金利と為替

日本は、世界のリスク資産にとって、依然として「極めて低い名目金利+膨大な資産負債表」を維持する数少ない主要な中央銀行システムの一つである。高市政府が日本銀行(BOJ)に対して「急激な引き締めは避けるべき」との姿勢を取るならば、それは世界的な流動性の延長という重要な指標となる。同時に、拡張的な財政政策が実行に移されれば、日本国内の名目成長(NGDP)と企業利益に直接的なプラス効果をもたらす。金利は緩和的で、名目需要も支えられ、リスク資産の割引率と利益の両方が支えられることで、日本の株式市場は恩恵を受けるだろう。また、日本の投資家は海外資産を大量に保有しているため、リスク選好の改善は米国株、アジア株、新興市場への資金流入にも波及する可能性がある。

為替については、市場は「緩やかな利上げ+拡張的財政」を円安の兆しとして解釈している。円安は輸出型の日本企業(自動車、機械、半導体設備、精密機器)にとって明確なプラス要因となり、日本の主要株価を押し上げるだろう。さらに、世界的な観点から見ると、円安はしばしば「グローバルな製造業供給チェーンの隠れた値下げ」を意味し、企業の利益率に間接的な支援を与えることになる。もちろん、円安は日本の輸入物価を押し上げ、実質所得を圧縮するため、これに対する財政的な補助が必要となる。もし補助がなければ、1~2四半期後には民生消費の低迷が顕在化する可能性がある。 (関連記事: 高市早苗氏、就任前から難路 公明との溝と追加予算の壁、アメリカ学者が悲観的見解 関連記事をもっと読む

二、政治的要因は経済のプラス材料を帳消しにするのか

公明党の離脱は、自民党の統治権威と法案推進力が安倍政権全盛期には遠く及ばないことを明らかにした。短期的には、国会の支持が不足している場合、財政法案(補完予算、税制優遇、産業政策)が薄まる可能性や遅延するリスクがある。政治が「手探り状態」になった場合、市場は前述の「緩和の延長」というシナリオが本当に成立するのか検証することになる。これは好材料が消えるということではなく、「ペース」が長くなるということであり、株価は一時的に上がる可能性があるが、その後、議会の進展や内閣の支持率によって価格が決まることになる。

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