トランプの圧力下で進展する「ガザ和平」、パレスチナ科学者はイスラエルの協定遵守に懸念表明

2025-10-13 11:55
パレスチナ科学者のマジン・クムシーヤ氏が『風傳媒』の独占インタビューに応じた。(写真/顔麟宇撮影)
パレスチナ科学者のマジン・クムシーヤ氏が『風傳媒』の独占インタビューに応じた。(写真/顔麟宇撮影)
目次

アメリカのトランプ大統領の圧力の下、イスラエルとガザの過激派組織ハマスが第1段階の停戦合意に達し、10日に発効したことで、ガザ地区に平和の兆しが見えてきた。パレスチナ人はこの歴史的な合意をどのように見ているのか。パレスチナの科学者マジン・クムシエ氏が『風傳媒』の単独インタビューで、「イスラエルは建国以来、合意を遵守しない記録が数え切れない。今年初めに第2次停戦合意が達成されたが、イスラエルはその後、合意を破って攻撃を開始した。今回もイスラエルが合意を守ることに全く期待していない」と話した。

自然を愛するクムシエ氏は、ベツレヘムで生まれ、科学者、大学教授、自然博物館館長、人権活動家、作家として活動している。アメリカでは人権運動に活発に参加し、インドのガンジーの精神を模範とし、非暴力抵抗を主張し、パレスチナ人の帰郷権を求めて50年にわたり闘ってきた。そして2025年ノーベル平和賞の候補者となった。

クムシエ氏、非暴力抵抗を主張し、ノーベル平和賞候補者に

クムシエ氏の家族はベツレヘムに代々住んでいる。彼はベツレヘムで中等教育を修了後、ヨルダンの大学に通い、奨学金を得てアメリカで留学、テキサス工科大学で動物学と遺伝学の博士号を取得した。その後、アメリカのテネシー、デューク、イェール大学で教鞭を執り、研究活動を行っている。クムシエ氏の妻、章学芳さんは台湾出身で、アメリカでの留学中に恋に落ちて結婚した。

アメリカで30年近く暮らした後、クムシエ氏は2008年にパレスチナの故郷ベツレヘムに戻り、生涯の蓄えである25万米ドルを寄付し、2014年にパレスチナ生物多様性と持続可能性研究所(PIBS)やパレスチナ自然史博物館を開設し、生物多様性、気候変動、持続可能な発展の研究を推進している。彼ら夫婦は博物館の専任ボランティアとして若者に自分たちの土地と文化の歴史を知ってもらうために努めている。

20230605-イスラエル特集、ベツレヘム、Natural History Museum 博物館館長 Dr. Mazin Qumsiyeh(右)、パレスチナ台湾僑民章学芳(左)。(顏麟宇撮影)
クムシエ氏(右)は妻であるパレスチナの台湾系華人の章学芳さんとともにパレスチナ自然歴史博物館を開設した。(写真/顏麟宇撮影)

2023年10月7日、ハマスはイスラエルに対して急襲を行い、1200人が死亡し、251人が捕虜となった。過去2年間にわたり、イスラエルはガザ地区で大規模な軍事行動を実施し、67,000人以上が死亡、170,000人以上が負傷した。2024年11月、国際刑事裁判所(ICC)はイスラエルに戦争犯罪の容疑で、ベンヤミン・ネタニヤフ首相やヨアヴ・ガラント前国防大臣に逮捕状を発行した。

国連環境計画(UNEP)の報告によれば、過去2年間でガザ地区の建物8割が破壊され、学校、病院、モスク、教会、住宅など多くの施設が瓦礫と化し、倒壊した建物は6億1000万トン以上の廃棄物を生じている。その中には重金属を含む工業廃棄物も含まれており、環境汚染の原因となる可能性がある。 (関連記事: トランプ氏が仲介「イスラエル・ハマス和平計画」第一段階に合意 ガザ戦争ついに終結へ? 関連記事をもっと読む

ガザにおける大量虐殺、国連専門家がイスラエルによる食糧武器化を非難

第二次世界大戦中、600万人のユダヤ人がドイツのナチスによって虐殺され、悲惨な影を残した。21世紀に入り、再び人種虐殺の悲劇が発生したことは予想外であった。イスラエルの人権団体B’Tselemは、イスラエル軍が全面封鎖と殺人トラップによってガザのパレスチナ人を餓死させたと指摘する調査報告を発表した。多くのパレスチナ人が食糧配給所への道中で、不意の砲弾により命を落とし、これらの配給所が死のトラップと化している。国連専門家は、「イスラエルは食糧を武器としてパレスチナ人に対抗している」と非難する。

最新ニュース
トランプ氏、中国に100%関税を突如発表!「見習う必要なし」急な方向転換 レアアースの影響がAPECの米中首脳会談に?
成田空港に「Another Side of Japan」登場 TYOが訪日客に日本各地の魅力を映像発信
「映像で地方創生」 TYOとソニーが連携、シネマカメラ「BURANO」×クラウドで描く日本の新しい風景
TYO × JR西日本「せとうちパレットプロジェクト」 倉敷・児島を舞台に「デニムの町」の魅力を世界へ発信
第62回金馬奨、台北文創劇作賞出身作『深度安靜』『失明』が計8部門ノミネート 林依晨が22年ぶりに主演女優賞候補に
台湾先物は下げ幅1000ポイント未満にとどまる 米株先物・暗号資産が反発
「速さ」に疲れたあなたへ 台湾・台東が提案する「スロートラベル」3つの癒しの処方箋
BSSTO×キネマ旬報シアターが初コラボ 世界のショートフィルム傑作選を2週間限定上映へ
かつての青春の象徴、ユースホステルが激減 若者が選ばなくなった「3つの理由」とは
現場》台湾・花蓮光復の救援活動を支えるボランティア 被災を経験した子どもが成長して活動に参加 種族・国籍を越え島の復興を支える記録
黒沢清も絶賛 リム・カーワイ監督の幻のデビュー作『アフター・オール・ディーズ・イヤーズ』、15年ぶりにスクリーン復活
台湾出身、知床で唯一の中国語ガイド──Lanさんが語る道東での生活と暮らしの魅力
北朝鮮の外交戦略に迫る ジェニー・タウン氏がFCCJで最新分析を披露
「字幕の女王」戸田奈津子氏、FCCJで半生と翻訳の舞台裏を語る
侍ジャパン、2026年3月WBC開幕前に強化試合 京セラでオリックス・阪神と 台湾代表は宮崎で対戦
2025台東フリンジフェス、10月18日開幕! 12公演と6つの「アート×旅」ルートで“旅しながら観る演劇”を体験
「エヴァンゲリオン」30周年記念展「ALL OF EVANGELION」、11月14日から六本木で開催
震災から始まった、いわきFCとの10年 ── TYOプロデューサー・面川正雄氏が語る、心を動かす映像制作の情熱
富士山麓で本格着物体験を──台湾出身のめぐさんが語る「KIMONO MEGU」の魅力と未来
日本のスキャンダル文化を考察 フジテレビとサントリー事例でプルシャ博士が分析
奈良美智氏の台湾巡回展、12月に嘉義で開催 金瓜石会場は8万人が来場
ちいかわ×85℃ 限定のケーキ&カップが10月16日から台湾限定発売
台湾・宜蘭県の人気観光ランキング発表:清水温泉や太平山を抑え、92万人を魅了した注目スポットとは
インスタント麺年間81億食!日本・韓国・中国を超えた“世界一の国”とは?
東京・大阪で開催 外国人留学生のためのキャリアフェア2025
第26回東京フィルメックス、オープニング&クロージング作品を発表
OIMACHI TRACKS、2026年3月28日にまちびらき 広域品川圏の共創まちづくりが本格始動
100体以上の等身大ドラえもんが東京に集結 史上最大級の展覧会「100%ドラえもん&フレンズ」日本初開催
台湾有事の際、日米はどう対応するか?識者が警鐘:トランプ政権下での台湾支援に不確実性
論評:台湾・国民党は再建不能なのか? 誰が率いても立ち上がれない現状
鴻海、約1,000億円での日産追浜工場買収が破談 上層部の「外部救済拒否」が決定打に
2025年ノーベル文学賞》村上春樹氏はまたも受賞逃す、ハンガリーの小説家ラースロー・クラスナホルカイ氏が栄冠に 反ユートピアと憂鬱な世界
2025年ノーベル平和賞》トランプ氏とは無関係、ベネズエラの民主化守護者マリア・マチャド氏が受賞
高市早苗氏、就任前から難路 公明との溝と追加予算の壁、アメリカ学者が悲観的見解
中国商務部が「史上最厳しいレアアース禁令」を発表、米日台の供給網直撃!NVIDIAとAppleに深刻な影響
【武道光影】大東流合気柔術に息づく相撲技
台湾映画『優雅な邂逅』上映、パンデミック下の台北が映す チャン・ツォーチ監督が語る「人と人の出会いが希望を生む」
K-POP×渋谷カルチャーが交差 「渋谷ファッションウィーク2025秋」10月19日開催
Peatix、「ハンドクラフト特集」公開 編み物ブームや“ぬい活”が広げる新しい自己表現の形
「SSFF & ASIA 2025秋」オンライン特集 アイスランドの絶景と人間ドラマを描く5本の短編上映
陸文浩の視点:中国海軍の新病院船「シルクロード・アーク」号が初の遠洋任務へ 南太平洋・南米を巡る「ミッション・ハーモニー2025」始動
台湾・彰化で最大級の「台湾デザイン展2025」開幕 588イベント・700人のデザイナーが地域の未来を描く
ノーベル平和賞発表前夜にトランプ氏が仲介 イスラエル・ハマスの人質交換合意を発表 2年の紛争終結へ、撤退条件は不透明
台海分析》鄭麗文氏、国民党主席選のダークホースに浮上 北京が注目する「好意2点と懸念1点」
アニコム、文京区に『JARVISどうぶつ医療センターTokyo』開院 ロボット手術とAIで獣医療の未来を変革
牙狼〈GARO〉20周年記念展「魔戒録」渋谷で開催 最新作『GARO TAIGA』の衣装・ホラー造形を初公開
2025年ノーベル化学賞 京都大学・北川進教授ら3教授が受賞 気体を“捕まえる”新素材「MOF」で世界を変える