トップ ニュース 論評:台湾・国民党は再建不能なのか? 誰が率いても立ち上がれない現状
論評:台湾・国民党は再建不能なのか? 誰が率いても立ち上がれない現状 台湾・国民党主席選に立候補した6人の候補者はいずれも「短所」を抱えている。(写真/陳品佑撮影)
2016年に再び政権を失った台湾の国民党は、「泥のように上がらない」という表現がほぼ専属形容詞のように使われるほど、党勢の低迷が象徴化している。鉄が鋼にならないことを嘆く国民党員はこれを批判に用い、政権を握った民進党は嘲笑の種にし、党に属さないが国を憂う解説者やネット有名人も容易に口にすることができる。さらには、対岸の中国ネットユーザーまで国民党批判に便乗するほどである。
この9年間、国民党の主席選挙は回を重ねるごとに静かになり、党の「権力機構」である中常会がどのような人々で構成されているのかも関心が薄れている。このように息も絶え絶えの野党が、地方政権を維持し、立法府では再び「最大党」に返り咲いても、党の評価は上がらず、最近になってようやく民進党の支持率を上回る状況だ。この結果は国民党の実力ではなく、民進党の大規模失敗によるものである。
候補者の「短所」─張亞中は強勢、郝龍斌は不強勢 よく言われる「犬が骨を食べない性格を変えられない」というように、政党の性質を変えるのは容易ではない。民進党の闘争心が変わる兆しはなく、成功した国民党も新しい風を見せていない。党主席選挙は意外に熱気があるものの、一般の関心は限られる。先の大規模リコールで多くの有権者は国民党を意に介さず、投票結果の多くは民進党の無差別リコールに反対したため、中間層の有権者は国民党を意識せざるを得なかった。このことから、2026年地方選挙と2028年総統選挙では6~7割の民意は既に固まっており、政権交代は必然で、国民党主席が誰であろうと「藍白合作(国民党と民衆党の連携)」が必要といえる。
候補者にはそれぞれ「短所」があるため、一般有権者が熱心に応援するのは難しい。蔡志弘氏と卓伯源氏は、参選していなければ過去の国会議員や県知事経験が忘れられかねない存在である。張亞中氏は二度目の立候補で政見を貫き、常に国民党が党の魂を失ったと批判してきたが、「魂」は叱責で蘇るものではない。また、張氏の両岸政策が強すぎることも弱点となる。対照的に郝龍斌氏は「不強勢」で、両岸主張も与野党関係も穏健であり、新党所属時や民進党政権下(陳水扁時代)の閣員経験から深藍~浅緑まで受け入れられるはずだった。しかし、ネット時代では非難が注目を集めやすく、これが短所とされている。
羅智強は「国民党すぎ」、鄭麗文は「国民党らしくない」 さらに、先述の4人の共通の「短所」は、いずれも中堅以上の世代である点だ。年齢だけでなく、若者の目には古臭く、老態ではなく、古典的すぎる存在として映る。「クラシカルなデート」は流行でも、「古典的な政治」は退屈に感じられる。4人のうち、郝龍斌氏には突破のチャンスがあるが、そのためには「長輩の呪い」を破り、イメージも政治表現も若者に寄せる必要がある。
一方、羅智強氏と鄭麗文氏はすでに「50歳半ば」を超えた壮年世代で、国民党在野9年間の戦将を象徴する存在である。彼らが次世代につなげなければ、国民党は「隔世交代」を余儀なくされる。
羅智強氏は政治的実力も戦績も持つ。議員、立法委員として勝利を重ね、台大校長管中閔氏や韓国瑜氏の市長選を支援し、大規模リコールでは中台湾に「防火壁」を築き上げた。彼は馬英九派(馬系)に属するが、国民党が二度目の政権喪失を経験したため、党内では馬英九氏への評価が強く、また当時の重臣・金溥聰氏との不和もあり、「馬系」は必ずしも追い風とはいえない。鄭麗文氏は民進党を離れ、連戦氏の選挙を支援してきたことから、連戦派との関係を示す「連系」と分類されるが、国民党初の政権喪失の責任も含め、「連系」も追い風とは限らない。
特筆すべきは、羅智強氏の政治経歴は、新党志工としてスタートし、無党籍を経て再び国民党に戻った経歴を持つことだ。基本的には藍陣営(国民党)で間違いないが、民進党出身の鄭麗文氏と比較すると、「国民党すぎる」のが羅智強氏の短所である。例えば党主席選挙で過熱した議論を避け、両岸問題の直球対決を回避するため、花蓮の救災を口実に辯論会を避け、18人の立法委員に開催縮小を呼びかけ、結果として複数の辯論会や説明会が中止になった。これは羅智強氏の能力というよりも、「党中央」の統制力の不足を示すものである。
火花は散るも、党内攻防で泥試合に? 選挙後も国民党に尽力できるか 一方、鄭麗文氏は「国民党らしくない」とされるが、党内での利点や弱点は一概に評価できない。彼女の行動はしばしば党中央への挑発として受け止められ、求勝心が強いため民調や造勢活動は十分ではない。羅智強氏の「内に向かない祝福」を利用して「棄選保鄭」の誤情報を流させる場面もあり、最終的には羅智強氏が訂正し、訴訟も辞さない姿勢を見せた。最大のリスクは、彼女の勝利への執念とメディアでの積極性である。2024年には、迅速な「侯友宜徵召」を要求し、さらに「換侯」作戦の先陣を切った。大罷免では国民党全体が敗北した後、即座に「党外大連合」を組織し、党を一歩排除する行動も見せた(ただし守られたのは党の立法委員)。今回の党主席選挙では、声勢は順調に伸びているが、「当選後の高市早苗氏訪問」によって思わぬ障害も出た。彼女は比較対象として女性政治家に注目したが、高市氏の極右的傾向を見落としていた。
手順を数え上げると、老若関係なく誰も安定した勝利を手にできない状況だ。熱意を注ごうとしても、無理がある。政治的情勢を踏まえれば、2026年地方選挙では民進党が勝つ基盤はなく、国民党が敗北する理由もない。これが羅智強氏が軍令状を立てた理由である。もし当選後、台南または高雄のいずれかを制せなければ党主席を辞任するという条件付きだ。これは、地方選挙終了後に大統領選の候補者が党主席と兼任できるよう、戦略的に設計されたものである。さらに、現有の執政県市が必ずしも勝利を保証するわけではなく、藍白連携や民衆党との調整を怠れば、予期せぬ結果もあり得る。
結論として、張亞中氏が党主席選を通じて掲げたのは両岸政策だが、郝龍斌氏、鄭麗文氏、羅智強氏の3人の党主席選挙は政党の再建を目的としており、民意の圧力下では、誰が選ばれても藍白連携は選挙戦の前提となる。しかし、その連携にも方法論が存在する。民衆党主席・柯文哲氏は拘束される状況にあるが、民進党にとっては、柯氏や民衆党を攻撃する方が国民党を攻撃するよりも話題を作れる可能性がある。国民党にとって、この主席争いで火花を散らすことは容易ではないが、勝利への執念を持つ候補者が「爛泥」になることはない。ただし唯一のリスクは、選挙期間中に党内攻防が激化し、たとえ泥試合とならなくとも、投票後に国民党のために力を尽くせるかどうかである。
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