論評:台湾・国民党は再建不能なのか? 誰が率いても立ち上がれない現状

2025-10-10 21:08
台湾・国民党主席選に立候補した6人の候補者はいずれも「短所」を抱えている。(写真/陳品佑撮影)
台湾・国民党主席選に立候補した6人の候補者はいずれも「短所」を抱えている。(写真/陳品佑撮影)
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2016年に再び政権を失った台湾の国民党は、「泥のように上がらない」という表現がほぼ専属形容詞のように使われるほど、党勢の低迷が象徴化している。鉄が鋼にならないことを嘆く国民党員はこれを批判に用い、政権を握った民進党は嘲笑の種にし、党に属さないが国を憂う解説者やネット有名人も容易に口にすることができる。さらには、対岸の中国ネットユーザーまで国民党批判に便乗するほどである。

この9年間、国民党の主席選挙は回を重ねるごとに静かになり、党の「権力機構」である中常会がどのような人々で構成されているのかも関心が薄れている。このように息も絶え絶えの野党が、地方政権を維持し、立法府では再び「最大党」に返り咲いても、党の評価は上がらず、最近になってようやく民進党の支持率を上回る状況だ。この結果は国民党の実力ではなく、民進党の大規模失敗によるものである。

候補者の「短所」─張亞中は強勢、郝龍斌は不強勢

よく言われる「犬が骨を食べない性格を変えられない」というように、政党の性質を変えるのは容易ではない。民進党の闘争心が変わる兆しはなく、成功した国民党も新しい風を見せていない。党主席選挙は意外に熱気があるものの、一般の関心は限られる。先の大規模リコールで多くの有権者は国民党を意に介さず、投票結果の多くは民進党の無差別リコールに反対したため、中間層の有権者は国民党を意識せざるを得なかった。このことから、2026年地方選挙と2028年総統選挙では6~7割の民意は既に固まっており、政権交代は必然で、国民党主席が誰であろうと「藍白合作(国民党と民衆党の連携)」が必要といえる。

候補者にはそれぞれ「短所」があるため、一般有権者が熱心に応援するのは難しい。蔡志弘氏と卓伯源氏は、参選していなければ過去の国会議員や県知事経験が忘れられかねない存在である。張亞中氏は二度目の立候補で政見を貫き、常に国民党が党の魂を失ったと批判してきたが、「魂」は叱責で蘇るものではない。また、張氏の両岸政策が強すぎることも弱点となる。対照的に郝龍斌氏は「不強勢」で、両岸主張も与野党関係も穏健であり、新党所属時や民進党政権下(陳水扁時代)の閣員経験から深藍~浅緑まで受け入れられるはずだった。しかし、ネット時代では非難が注目を集めやすく、これが短所とされている。

羅智強は「国民党すぎ」、鄭麗文は「国民党らしくない」

さらに、先述の4人の共通の「短所」は、いずれも中堅以上の世代である点だ。年齢だけでなく、若者の目には古臭く、老態ではなく、古典的すぎる存在として映る。「クラシカルなデート」は流行でも、「古典的な政治」は退屈に感じられる。4人のうち、郝龍斌氏には突破のチャンスがあるが、そのためには「長輩の呪い」を破り、イメージも政治表現も若者に寄せる必要がある。

一方、羅智強氏と鄭麗文氏はすでに「50歳半ば」を超えた壮年世代で、国民党在野9年間の戦将を象徴する存在である。彼らが次世代につなげなければ、国民党は「隔世交代」を余儀なくされる。

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